研究課題
細胞運動発現メカニズムの生理学側面に関しては以下の成果を得た。当初予定していた好中球様培養細胞HL-60だけでなく魚類表皮細胞ケラトサイト、細胞性粘菌アメーバが、接着している基質との力学的な相互作用を基に,どのようにそのアメーバ運動の様相、すなわち直進性や速度、細胞内シグナル伝達を決定するかを検討した。具体的には、粘菌アメーバを吸引ピペットで吸引する機械刺激を与えることで、細胞に力学的な刺激が加わったときのタリンタンパク質の役割を明らかにした。また,ゾウリムシの化学物質受容におけるセンシング機構と,その刺激受容によって起こる行動反応の制御機に関する研究を行うとともに,繊毛中心装置の構造が繊毛運動,特に繊毛打波形の形成にどのような影響を与えているのかを解析した。細胞運動のシミュレーション研究では以下の成果を得た。細胞内のミクロな物質構造の変化が、細胞の形状変化及び細胞の移動を生み出す仕組みを物理学的に考察するため、フリップフロップによるベシクルの形状変化、および、ベシクル内部の高分子鎖の剛直性を変化させた時の形状変化を分子動力学シミュレーションにより解析した。また、ベシクル内でのアクチンフィラメントの構造形成を調べるための前段階として、修飾シクロデキストリンによる様々な秩序構造形成に関する研究を行った。細胞運動に関わる遺伝子発現モデルとして,アクチンフィラメントを生成する反応であるアクチン重合を制御するシグナル伝達経路のシミュレーションをペトリネットを用いて行った。経路中の物質をノックアウトすることでアクチン重合の状況の変化を観察した。その結果、ノックアウトの程度によって、アクチンフィラメントの生成量が減少することが分かった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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