本研究の成果は,動物の行動において普遍的に見られる予測的運動制御を実現する神経メカニズムの一端を明らかにしたことにある.特に,解剖・生理学的に良く理解された金魚の眼球運動における神経メカニズムを明示し,霊長類まで神経回路構造が保存されている小脳の重要性を示した点で学術的意義がある.また本研究では,明らかにした神経メカニズムを数理モデルとして定式化し,計算機に実装することより工学的に理解した点も重要な成果である.予測的運動制御は未だロボット制御では実現の難しい技術であり,来るべきロボット共存社会を迎える上で重要な要素技術を提供する点で社会的意義も大きいものと考えられる.
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