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2018 年度 実績報告書

ゲノムDNA転写開始活性の数理的構造を用いた制御領域リバースエンジニアリング

研究課題

研究課題/領域番号 16H02902
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

川路 英哉  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 開発ユニットリーダー (20525406)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワードトランスクリプトーム / 転写開始活性 / プロモータ / エンハンサー / エピジェネティクス
研究実績の概要

近位・遠位より転写に影響を与える転写制御領域 (プロモータ・エンハンサー) について、これら近傍における転写活性の数理的構造を抽出する上で、転写開始活性の測定データ(CAGE)と共に転写に関与するエピジェネティックデータについて継続して整備を実施した。DNAとヒストンの複合体であるヌクレオソームが形成される位置をATAC-seqを用いて測定し、これらを転写開始活性データや他の公共エピジェネティックデータと統合的に活用する技術の開発を行った (https://doi.org/10.1101/314807)。転写活性の数理的構造の基礎検討を進める中で、これまでの測定手法では転写後調節による影響を大きく受けている点が喚起された。そこで新生RNAに着目した転写開始活性測定法の開発に携わっていた研究者と協力し、転写後調節による影響を受けない、転写開始活性のみを測定したデータの解析手法を検討した。細胞質に蓄積する極めて安定なRNAに由来するシグナルを取り除くことで転写開始活性の測定がより高感度になることが確認された。一方、エンハンサーの同定をこれまでと同様に実施すると特異度が下がる傾向が見られたことから、特異度を落とさずにエンハンサーを高感度に同定するパラメータを探索し決定した。本データと解析手法を用いることで、これまでには知られていなかった転写制御領域についても検討対象に加えることができ、また、転写後制御の影響を考慮せず転写開始活性を検討することが可能になった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

近位・遠位より転写に影響を与える転写制御領域 (プロモータ・エンハンサー) について、これら近傍における転写活性の数理的構造を抽出する上で、まずは転写開始活性に関するデータ(CAGE)と共に転写に影響を与えうるデータの整備を実施した。最新のゲノムリファレンス上で転写開始活性データ利用を可能とするため、転写開始活性データの再処理を実施した (https://doi.org/10.5281/zenodo.545682)。さらに、転写開始活性データやエピジェネティックデータといった、ゲノム機能に関するデータを体系的に統合するための技術開発を実施し (https://doi.org/10.1101/314807)、これを用いて過去に産出されたヒトにおける転写開始活性データとエピジェネティックデータの統合を実施した (Lizio M et al., Nucleic Acids Res, 47:D752-D758, 2019)。また、ATAC-seqを用いてDNAとヒストンの複合体であるヌクレオソームが形成される位置を測定することで、公共エピジェネティックデータの補完を試みた。これらを元に、転写活性の数理的構造の基礎検討を進める中で、これまでの転写開始活性測定においては転写後制御による影響成分が不可分である点が指摘された。そこで、転写後制御による影響を受けない転写開始活性測定法の開発にとりくみ、そのデータ取得を進めつつある。

今後の研究の推進方策

転写後制御による影響を受けない転写開始活性の測定結果を、これまでに収集・整備した公共データに統合した上で、転写活性の数理的構造に関するこれまでの検討を更に推し進める。これと並行し、これまでに微かにしか測定できなかった転写開始活性を持つゲノム領域が持つ意味や役割に関する解析を実施する。転写制御領域 (プロモータ・エンハンサー) に関して、そのDNA配列や周囲の要素が異なる場合にはどのような転写開始活性になるかを実験的に評価する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [国際共同研究] Karolinska Institute(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      Karolinska Institute
  • [雑誌論文] dirHub: a trackHub configurator with directory structure projection2018

    • 著者名/発表者名
      Hideya Kawaji
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: May ページ: 4

    • DOI

      https://doi.org/10.1101/314807

    • オープンアクセス
  • [学会発表] dirHub: a trackHub configurator with directory structure projection2018

    • 著者名/発表者名
      Hideya Kawaji
    • 学会等名
      Biology of Genome
    • 国際学会
  • [学会発表] 5' nascent RNA profiling of cis-regulatory elements2018

    • 著者名/発表者名
      Shruti Bhagat
    • 学会等名
      Takeda Symposium
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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