研究課題/領域番号 |
16H02903
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
野里 博和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 主任研究員 (40435764)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 内視鏡 / 画像診断支援 / 特徴抽出 / 類似症例検索 / 自動分類 |
研究実績の概要 |
本研究では、内視鏡検査を対象として、コンピュータに蓄積された情報に基づいた自動分類結果と類似症例画像の提示により医師の知識や経験の差を補うと同時に、それら提示結果への医師のフィードバック情報によりコンピュータ内の診断基準を再構築する、医師が使えば使うほど診断基準が精錬され精度が向上する育成型内視鏡画像診断支援プラットフォームの提供を目指した研究を行った。 H28年度では、プラットフォームに組み込むための各研究課題の要素技術の研究開発を行い、まず、高度診断支援システムの研究課題においては、これまでの研究で開発した自動分類技術と類似症例検索技術を統合し、共通の処理である内視鏡画像の強調処理と特徴抽出処理の共通モジュール化を行い試作した。また、統合モジュールによる類似症例検索アルゴリズムの向上を図り、内視鏡画像を用いた追加実験により有効性を確認し、論文(International Journal of Biomedilcal Imaging)にまとめた。再構築アルゴリズムの研究課題においては、内視鏡画像に対し、抽出した特徴量、分類情報、類似画像インデックスなどのタグを紐づける症例データベースの設計を行い、医用画像データサーバにSQLによるデータベースの構築を行い、各要素技術と連携を可能にする入出力ライブラリを試作した。診断支援インターフェースの研究課題においては、各要素技術を統合したソフトウェアのインターフェースの試作を行い、自動分類結果や類似症例検索結果を医師に提示する画面レイアウトや表示の大きさ、各処理の流れなどについて検討を行った。また、医師への提示情報のわかり易さを向上させるため、類似症例検索結果の類似度を可視化するツールの試作も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、プラットフォームに組み込むための各研究課題の要素技術の研究開発を目的としていた。研究の結果、当初の予定通り、内視鏡画像の強調処理と特徴抽出処理の共通モジュール化を達成し、その有効性の確認も行った。また、本研究の育成型内視鏡画像診断支援プラットフォームのベースとなる症例データベースの構築や入出力ライブラリの試作も完了し、次年度以降の高度診断支援システムとの連携に向けた基盤技術を確立することができた。診断支援インターフェースの研究課題においても、統合ソフトウェアを完成させるための初期ステップとして、インターフェースの試作や医師への提示方法の研究としての類似症例検索結果の可視化ツールの試作を行い、各要素技術を統合したソフトウェアの実現に向けた計画を予定通り進めることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、1年目の研究成果をベースに、高度診断支援システムと症例データベースの連携を行い、本研究の目的である、医師が使うほど医師の知識や経験が蓄積される仕組みを構築していく。高度診断支援システムの研究課題では、追加された内視鏡画像と医師からのフィードバック情報を用いて、新たに診断基準に追加する症例を自動選定するアルゴリズムを研究し、さらなる診断支援システムの高度化を図る。再構築アルゴリズムの研究課題においては、上記自動選定された新たな症例により診断基準を再構築するアルゴリズムの研究を行い、システムを運用しながら診断基準を向上させるための作業を効率良く行う一連の処理を完成させる。診断支援インターフェースの研究課題においては、高度診断支援システムと症例データベースを統合した検証を行い、各要素技術との連携を確認しながら、診断基準の精度が向上する仕組みの検証と共に、医師への診断支援結果の提示方法などの改良を行い、システムに反映していく。また、本研究の研究成果を他の内視鏡検査(例えば、膀胱内視鏡など)にも適用した研究も進め、本研究の有効性を検証していく。
|