本研究では、内視鏡検査を対象として、コンピュータに蓄積された情報に基づいた自動分類結果と類似症例画像の提示により医師の知識や経験の差を補うと同時に、それら提示結果への医師のフィードバック情報によりコンピュータ内の診断基準を再構築する、医師が使えば使うほど診断基準が精錬され精度が向上する育成型内視鏡画像診断支援プラットフォームの提供を目指した研究を行った。 H30年度は、消化器内視鏡検査画像および膀胱内視鏡検査画像を対象として、高度診断支援システムと症例データベースシステムの拡張を行った。高度診断支援システムの研究においては、使いながら収集される症例およびその診断結果により医師の知識や経験が蓄積される仕組みの研究において、収集された消化器内視鏡(胃カメラ)画像を他の臓器である膀胱内視鏡診断の精度向上に活かすための技術の研究を実施し、臓器間段階的転移学習技術の有効性を実証した。具体的には、一般画像で学習済み深層学習モデルをベースに、収集された胃カメラ画像とその診断情報により診断基準を再学習し、さらに対象である膀胱内視鏡画像で再学習する臓器間段階的転移学習手法を確立し、対象の病変検出の精度向上を図った。関連する研究成果は、国内外の学会等において11件の発表を行った。
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