研究課題/領域番号 |
16H02905
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊田 正史 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60447349)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ソーシャルウェブ / 実世界情報 |
研究実績の概要 |
(1)本年度はソーシャルメディアからの実世界イベントに関連する情報収集手法の高度化を行った。実世界イベントに関する書き込みが多く集まるTwitterを対象とし、ユーザの実世界での行動に影響を与えた情報の発見手法を提案した。例えば、ユーザの購買行動に対して、そのユーザの過去のツイートや他のユーザとのやり取りの中から購入した商品の推薦をしているツイートなどを発見することが可能となる。また、雨量データ等の実世界情報とTwitterに投稿される位置推定可能な投稿との比較を行いゲリラ豪雨等のイベントに関するつぶやきを取得する手法の開発も行った。さらに、発生した実世界イベントに関する話題が波及する範囲が同一言語に留まるか、さらに他の言語へ広がるかを予測する手法を提案し、相互的な解析を行うためのツールを整えた。 (2)実世界イベントに関して発生する新たな事物に関する言及を組織化可能とするために、新規に発生したエンティティを検出する手法を高度化し、中規模なTwitterデータを用いた実証実験を実施し、単純なベースライン手法と比較して適合率および疑似的な再現率で上回る精度で新規エンティティの獲得が可能であることを確認した。 (3)実世界イベントに関するTwitter上のつぶやきを付加された位置情報や、つぶやきの内容から推定した位置へマッピングし、地図上で時間と場所に応じて頻出するキーワードを可視化し、インタラクティブに探索可能とする手法の高度化を実施した。本手法のゲリラ豪雨等の災害をケーススタディとして実証実験を実施するため、予備的実験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究開発により、実世界イベントに関するソーシャルメディア上の情報収集、および実世界データとの相互比較の基盤が整った。実世界イベントに付随して現れるエンティティ等の検知やその波及効果の予測が一定の精度で可能となっている。また、解析結果の可視化に関しても開発が進んでおり、全体としておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、これまでに研究開発を進めてきた(1) ソーシャルメディアとセンサデータの相互解析手法、(2)イベントに関する付帯情報獲得手法、および(3)インタラクティブ可視化手法の研究開発を行う。大規模なソーシャルメディアデータおよびセンサデータを用いて有効性を確認する。 (1) ソーシャルメディアとセンサデータの相互解析手法相互解析手法においては大規模なTwitter のテキストデータおよびセンサの数値データを主に用い、解析手法のさらなる高度化を実施する。 (2) イベントに関する付帯情報獲得手法付帯情報獲得手法に用いるイベント連鎖、因果関係知識を充実させるため、知識辞書の自動拡張等の手法を開発する。 (3) 大規模なデータを用いた実世界イベントのインタラクティブ可視化システムを構築する。
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