研究課題/領域番号 |
16H02922
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
苅田 知則 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (40363189)
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研究分担者 |
柴田 論 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (10263956)
樫木 暢子 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10635858)
山本 智規 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (30380257)
中野 広輔 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (60735330)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 福祉・教育工学 / 遠隔学習支援システム / 長期欠席児 / 視線入力型端末 / 遠隔操作ロボット |
研究実績の概要 |
1.遠隔学習支援システムの改良 本研究では,視線入力によりベッド上でも直感的に操作可能なクライアント端末の開発を目指している.当該端末は,Webカメラによりユーザーの眼球画像を取得し,画像処理を施した上で瞳孔の重心位置の検出および運動の予測をパーティクルフィルタにより行い,眼球が向けられた方向を解析する.これらの解析により,画面の右に視線を向けると,遠隔地に設置しているロボットが右を向く等,画面上の視点の動きに応じロボットの位置・方向が制御される. 直感的な操作が可能なユーザーインタフェースであるが,モニター評価によって得られた結果に基づき,システムを改良するための実験を行った.結果より,視線入力によりロボットに搭載したカメラの角度が変化する場合,130~250pixel/sの速度が望ましいことが明らかとなった. 2.長期入院・欠席児を想定したユーザーインタフェースの検討 長期入院・欠席児は,病気・怪我等により既存の入力デバイスを使用することができなくなるという事態である.手指を自由に動かすことができない状況でパソコン等を利用するためには,視線入力型デバイスが有効であるが,一方で既存の入力デバイスとの差異に戸惑いを感じることも多い.そこで,既存の入力デバイスと視線入力型デバイスの利用において,操作により生じる精神的負荷量(唾液中アミラーゼ活性量)・疲労度(フリッカー値)を比較した.視線入力型デバイスを使ったことがない大学生10名を研究協力者として実験を行ったところ,既存の入力デバイスでは使用前後で精神的負荷量・疲労度ともに有意な変化は認められなかったが,視線入力型デバイスの操作では,操作前に比べて操作後に精神的負荷量と疲労度が有意に高まることが示された.今後,視線入力型デバイスが普及するためには,操作用のユーザーインタフェースの改良が必要であることも示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遠隔学習支援システムの改良等は,当初の予定通り,進展している. また,学術雑誌への投稿1編(国際学会),国際学会での発表1編(BEST PAPER賞受賞),国内学会での発表1編と,予定通りに成果の報告も進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
遠隔操作ロボットや視線入力型デバイスのアクセシビリティやユーザビリティについて,順調に改良が進んでいる. しかし,視線入力型デバイスのユーザーインタフェースについて,OS標準のままでは精神的負荷量・疲労度が高まることが示唆されている. 今後,視線入力型デバイスのユーザーインタフェースの具体的な改良点を明らかにする調査・研究を行う必要がある.
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