研究課題/領域番号 |
16H02926
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研究機関 | 九州情報大学 |
研究代表者 |
合田 和正 九州情報大学, 経営情報学部, 准教授 (50320396)
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研究分担者 |
峯 恒憲 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30243851)
廣川 佐千男 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 教授 (40126785)
石岡 恒憲 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (80311166)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学習支援システム / 運用・評価 / フィードバック |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自己評価文の提出時に,学習状況や態度を自動推定し,学習行動の改善や学習状況の向上に有効となる適切なフィードバックを与える仕組みを開発し,Web サービスとして提供するとともに,本研究課題の担当者の行う授業だけでなく,他の授業講師に対して,本研究成果の横展開を行うことである.平成28年度の研究計画では,次の2つを主に実施することを目標としていた. (1)自己評価記述文から,学習行動属性関連語の自動抽出機能の開発と評価, (2)自己評価記述文の収集から学習状況推定モデル構築までの機能連携の仕組みの開発. 研究成果:目標である(1)の自己評価記述文から,学習行動属性関連語の自動抽出機能の開発と評価では,まず,手作業で抽出した学習行動属性関連語を利用することで,学習者の学習状況や学習性能を高精度で推定できることを確かめた.次に,自己評価記述文の記載を補助する質問文と,学習行動属性を対応付けつつ,質問の回答として書かれた自己評価記述文から高頻度で出現する語を,対応する学習行動属性関連語と位置付けることで,自動抽出を可能とした.評価実験では,手作業で抽出した場合と,上記の推定精度が変わらないことを確認した. (2)の自己評価記述文の収集から学習状況推定モデル構築までの機能連携の仕組みの開発は,Webサービス化まではできていないが,おおよその機能連携までは実現した.さらに,平成29年度に実現予定の,学習状況推定結果に基づくフィードバック機能の開発を実現すべく,フィードバックを逐次与えることのできるWebサービスを開発し,学習者の自己評価記述文と,フィードバック内容との対応付けデータの記録を,代表者と分担者の担当講義で実施した. 成果は,論文誌1件,国際会議3件(LTLE2016[Best Student Paper Award], FIE2016, ICWL2016)で報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究計画目標は,研究実績の概要で記したように達成した.また,平成29年度に実施予定のフィードバックを提供するWebサービスも実現し,その利用により,自動フィードバック機能開発の研究に着手した.また,学習者の学習性能の推定結果が高精度にできるだけでなく,その推定理由を,機械学習に不慣れな教師に対しても理解できる形式で提示できるようにすることは,フィードバックを与える上で欠かせない機能であることから,これを実現するとともに,さらに,機械学習手法を組み合わせ利用することで,さらに高精度に学習者の学習性能を推定可能とする手法を開発した.同時に,良いフィードバックを与えることで,学習者に,自己評価記述文を積極的に書かせられるインセンティブを与えることもできることを確認した.
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今後の研究の推進方策 |
開発したフィードバック機能を提供するWebサービスは,大学で利用しているWeb学習システム(e-Learning Management System:LMS)と連携していないことから,LMSとの連携を図ることが求められる.また,学習者へのフィードバックの提示は,実際の講義で試みたものの,多くの手間がかかったことから,自動化の意義を再確認するとともに,自動化の方針や方法のアイデアも合わせて得ることができた.この知見をもとに,平成29年度は,自動化機能の開発を,研究分担者の峯の博士課程の学生とともに進める予定である.
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