研究課題/領域番号 |
16H02928
|
研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
松原 仁 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (50325883)
|
研究分担者 |
大澤 博隆 筑波大学, システム情報系, 助教 (10589641)
棟方 渚 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (30552351)
伊藤 毅志 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (40262373)
片上 大輔 東京工芸大学, 工学部, 教授 (90345372)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 5人人狼 / 精神性発汗 / 非言語情報 / 発話データ |
研究実績の概要 |
本研究の究極の目的は、問題解決をしているときの熟達者の思考過程のモデルを得ることである。その目的のために人狼というゲームを題材として選び、そのプレイヤがどのように考えてプレイをしているかをプレイ中の生体信号、視覚情報、プロトコルなどのデータを得てそれらを分析することによって調べる。人狼は不完全情報、多人数、非対称、対話、ノンバーバル情報などこれまで人工知能が題材としてきたゲームにはない特徴を有しており、このゲームを対象とすることで新しい知見が得られることが期待される。「弱い」人間と「強い」人間のデータの違いを比較することによって、相反する目的を持つ多人数の問題解決の思考過程に対する理解を深めることができ、たとえば強い人狼のプログラムの開発の参考にできると考える。 基本的には前年度と同じ実験を続けた。人狼に(ある程度の差が明確に出る程度に)強くなるためには通常1年から2年かかると言われているので、2年間継続して実験を行なった。当初は多人数の人狼のデータを取得していたが、5人人狼が研究対象として適切であることがわかったので、精力的に5人人狼のデータを取得した。この年度の後半には人狼プレイヤの予備的な情報処理モデルを構築し始めた。まだデータの本格的な分析はできていないが、非常に興味深いデータがたくさん取得できたと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の究極の目的は、問題解決をしているときの熟達者の思考過程のモデルを得ることである。その目的のために人狼というゲームを題材として選び、そのプレイヤがどのように考えてプレイをしているかをプレイ中の生体信号、視覚情報、プロトコルなどのデータを得てそれらを分析することによって調べる。人狼は不完全情報、多人数、非対称、対話、ノンバーバル情報などこれまで人工知能が題材としてきたゲームにはない特徴を有しており、このゲームを対象とすることで新しい知見が得られることが期待される。「弱い」人間と「強い」人間のデータの違いを比較することによって、相反する目的を持つ多人数の問題解決の思考過程に対する理解を深めることができ、たとえば強い人狼のプログラムの開発の参考にできると考える。 当初の予定通りに生体信号(精神性発汗)、発話情報、非言語情報の5人人狼のデータを精力的に収拾して分析を進めている。前年度と同じ被験者で実験を続けることができたので、プレイヤーが熟達していく過程についてもある程度の情報が取れたと考えている。5人人狼は単純化されているために多人数(たとえば13人)の人狼とは異なる部分が存在するものの、研究対象としては十分に多様性を含んでいることがわかったと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
人狼のプレイの記録は他の研究でもまだとても少ないので、5人を中心に引き続き人狼のプレイの実験を行なってデータを集めるつもりである。人狼を対象とした研究をできるだけ多くの人に進めてもらいたいので、将来はそのデータを他の研究者に公開することも検討したいと考えている。プロジェクトとしては取得したデータの分析を進めて人狼をプレイする際の思考モデルを本格的に検討していく。同時に人間のプレイ方法を参考にした人狼AIの作成にも取り組んでいきたい。
|