研究課題/領域番号 |
16H02946
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
弓本 桂也 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (50607786)
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研究分担者 |
村上 浩 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 主幹研究開発員 (00509838)
菊地 麻紀 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 研究開発員 (20746789)
吉田 真由美 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 主任研究開発員 (40743993)
永尾 隆 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 研究開発員 (50772472)
関山 剛 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 主任研究官 (90354498)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 気象学 / 地球観測 / 人工衛星 / 大気汚染防止・浄化 / 気候変動 / データ同化 |
研究実績の概要 |
衛星から得られる観測データと、数値エアロゾルモデルによるシミュレーションを統合し、より精度の高いエアロゾル予測を得るために、3つの研究チームで以下の様な研究を行った。 静止衛星エアロゾルリトリーバルチームは、ひまわり8号観測データからのエアロゾル光学パラメータ(エアロゾル光学的厚さおよびオングストローム指数)の定常的なリトリーバルを開始した。また、ひまわり8号の高頻度観測で得られた観測情報をデータ同化に有効に活かすため、6回の10分観測を合成するコンポジットデータ作成法を開発し、L3データとして定常的な処理を開始した。以上の成果を2本の論文として発表した。作成したデータセットのデータ同化シミュレーションチームへの定常的な提供を開始した。 データ同化シミュレーションチームは、昨年度開発したデータ同化システムに対し、静止衛星エアロゾルリトリーバルチームから提供される観測データを同化するエアロゾル同化/予測システムの開発を行い、定常的な運用実験を開始した。2016年5月に発生したシベリア森林火災を起源とする大規模越境汚染イベントにシステムを適用した同化予測実験を行い、データ同化による予測精度の向上を定量的に評価した。また、同化頻度や時刻による予測へのインパクトの検証を行った。結果をまとめ2本の論文として発表した。 同化手法高度化チームは、エアロゾル粒径分布に関する情報を取り入れるための同化手法の検討を行った。オングストローム指数ではなく、複数の波長のエアロゾル光学的厚さを同化する手法の開発を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ひまわり8号観測データからエアロゾル光学パラメータのリトリーバルを行うシステム、それらを使ったエアロゾル同化/予測システムはそれぞれ完成、運営を行っており、静止衛星データのリトリーバルーエアロゾル同化・予測のサイクルが定常的に回り始めている。毎日定常的に行われている同化/予測実験や過去にさかのぼっての同化/予測実験によって検証やシステムの改良に必要な知見の積み上げが順調に行われている。
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今後の研究の推進方策 |
静止衛星エアロゾルリトリーバルチームはひまわり8号から推定したエアロゾル光学パラメータ(エアロゾル光学的厚さ,オングストローム指数)について,他衛星からの推定値および地上観測データとの比較を通じ,精度・バイアスの検証を行うとともに,リトリーバルアルゴリズムの改良を行う.特に,データ同化において不自然な値は致命的な問題を引き起こすため,雲によるコンタミネーションのフィルタリングの影響を調べるとともに,リトリーバルの難しい地点は同化対象から除外するためのブラックリストを作成する. データ同化シミュレーションチームは準リアルタイムで運用するエアロゾル同化・予測システムの開発と運用を開始する.開発したシステムを過去の事例に遡って適用することで,同化・予測システムの予測精度を複数年で検証を行う.得られた検証結果から,背景誤差や観測誤差の推定方法の改良やモデルの更新,同化手法の改良など同化・予測システム全体のアップデートを行う. 同化手法高度化チームはひまわり8号から推定されたオングストローム指数を取り入れた同化実験を行う.オングストローム指数はエアロゾルの粒径分布に感度があるため,エアロゾル光学的厚さを用いた総量のみの拘束に加え,エアロゾルの組成情報に対しての同化によるインパクトが期待できる.また,放射輝度を用いたデータ同化手法開発にむけ,モデルの結果を放射輝度に変換するシミュレーターの検討を行う.
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