研究課題
平成29年度まで採集した、①西部北太平洋亜寒帯~亜熱帯・熱帯海域、②ベーリング海峡周辺海域~チャクチ海などで採集した動物プランクトン試料、③北海道~鹿児島までの太平洋側で採集したマイワシ・カタクチイワシ、これらに加え、④ベーリング海西部・東部において動物プランクトン試料を新たに採集し、極域(北極海チャクチ海・南極海)~北西部熱帯海域(北緯14度)における動物プランクトンの炭素・窒素安定同位体比について統計的に解析を行った。その結果、亜寒帯海域のような高栄養塩環境、また亜熱帯・熱帯海域のような貧栄養塩環境で且つ窒素固定系が卓越するような環境まで、食物網の構造や構成する生物が異なっても、海域に関わらず食物連鎖とN/C同位体比には統一的な規則性があることが確認された。炭素同位体比に関し、生物の同位体比は水温や日射、栄養塩濃度によって大きく変動し、高緯度域ほど炭素同位体比は軽く、低緯度域では軽いという特徴が得られた。窒素安定同位体比では、藻類の窒素同化時の主要基質によって決定されるものの、栄養塩同化時に強い制限(例えば、必須元素である鉄や低温、弱光量など環境に起因するもの)がかかると窒素同位体比が大きく変化する。これは藻類の同化速度(生育速度)に起因するものであるが、動物プランクトンの窒素同位体比においても、その環境要因が反映されていることがライン観測結果から得られた。沖縄~鹿児島近海までの黒潮流域のメソ動物プランクトン群集の同位体分析から、外洋域ほど再生栄養塩・窒素固定に由来するエネルギー源を利用している可能性が示唆された。また、同海域で採集した群体珪藻・群体シアノバクテリア、稚仔魚群集の同位体比から、局所的に発生する藻類は黒潮生態系の主なエネルギー供給源とはなっておらず、黒潮流域の稚仔魚の餌料源は小型カイアシ類であることが推定された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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