研究課題
最終年度(平成30年度)は、(1)アラスカサイトと高山サイトでの観測の継続と太陽光励起クロロフィル蛍光(SIF)の日変化、季節変化データの取得、(2)LiDARデータを利用した森林の林分データの作成とモデルへの導入、(3)クロロフィル蛍光の個葉レベルモデルと森林群落レベルのモデルの統合と結果の解析、の3点で研究を実施した。 (1)アラスカサイトでの観測では、 平成30年度7月には観測サイトを訪問しセンサのキャリブレーションを実施した。その結果をもとに、2018年7月から11月までの日中5分インターバルのSIFの観測結果をえた。夏季のSIFの日変動結果からは、樹冠レベル、林床レベルの両者とも太陽南中時近傍に最小となるお椀型の日変化が見られた。このSIF観測の結果とフラックスタワーで観測されている生態系純生産量 (NEP)との比(NEP/SIF)は、SIFの日変化とは逆に南中時近傍に最大値となる変化となった。岐阜県高山市の落葉広葉樹の観測サイト(高山サイト)でも観測を継続しSIFの日変化及び季節変化の結果を得ることができた。(2)高山サイトでは、地上LiDARによる葉群分布観測が行われており、そのデータを入手した。このデータから葉群密度分布の鉛直プロファイルを導出した。このLiDARの鉛直プロファイルと毎木調査のデータから構築したシミュレーション用の林分データをあわせて、仮想林分の葉群密度分布データを構築した。このデータは(3)のシミュレーションで使用した。(3) SIFの個葉モデルと群落モデルを統合した。統合モデルで高山サイトのSIF計算を実行し、現場データとの比較を行った。開発モデルは夏季のSIFの日変化や季節変化をうまく捉えることができていたが、春先や秋には計算値は過大推定の傾向があった。感度分析を実施してその要因を調査したところ、個葉反射率や透過率を季節的に一定値としたことが原因であることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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