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2016 年度 実績報告書

新規DNA修復阻害剤を活用したメカニズム解析と癌治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16H02952
研究機関金沢大学

研究代表者

松永 司  金沢大学, 薬学系, 教授 (60192340)

研究分担者 猪部 学  金沢大学, 薬学系, 准教授 (10312414)
若杉 光生  金沢大学, 薬学系, 助教 (80345595)
後藤 享子  金沢大学, 薬学系, 准教授 (50180245)
向 智里  金沢大学, その他部局等, その他 (70143914)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードケミカルバイオロジー / ヌクレオチド除去修復 / 阻害剤 / 低分子化合物 / 癌治療
研究実績の概要

本研究では、ヌクレオチド除去修復を阻害する化合物をケミカルライブラリーから見つけ、これらの細胞内ターゲット(新規修復関連因子)を同定して阻害機序を解明するとともに、これらの阻害剤をステップ・バイ・ステップ解析にも利用して、細胞内ヌクレオチド除去修復反応の全容解明に寄与することを目的とする。さらに、これらの化合物はシスプラチン等のDNA傷害性抗がん剤の作用増強剤になりうるため、癌治療への応用の可能性についても検討する。初年度の研究実績は以下のとおりである。
(1)細胞内NER反応のメカニズム解析
先行している化合物A6 とスピロノラクトン(SP)について、化合物ビーズを用いて細胞溶解液からターゲットを分離する、あるいは光反応基を付与した活性型化合物を用いて細胞内でターゲットを結合させるなどのアプローチで検討を行っているが、現時点ではまだ同定に至っていない。一方で、A6によるERCC1の分解誘導、およびSPによるXPBの分解誘導に関わるユビキチンE3リガーゼの同定に成功し、2つの反応が非常に類似していることが示唆された。
(2)癌治療への応用の検討
LDHアッセイを用いて、様々なDNA傷害性抗がん剤とA6との併用効果を解析中で、まだ全ては完了していないものの、現時点でシスプラチンが最も顕著であった。また、マウス肺癌細胞LLCを用いたインビボ移植系でもシスプラチンの抗腫瘍作用をA6が増強することがわかった。一方、定量的な構造活性相関解析により、A6よりも高活性が期待される化合物をデザインできた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各化合物の細胞内ターゲットの同定は遅れているものの、A6とSPの分解誘導反応に関わるE3リガーゼの同定に成功できたことで、全体としてはおおむね順調と判断した。仮に、細胞内ターゲットの同定が現在のようなアプローチでできない場合でも、E3リガーゼが同定されたことで、そこから遡ってターゲットを同定することも可能と考えている。一方、DNA傷害性抗がん剤に対するA6の増感作用は、シスプラチンにおいてインビトロとインビボの両方から実証でき、他の抗がん剤でもインビトロで併用効果が認められていることから、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

A6とSPの作用メカニズムに関して、リン酸化反応も関与する可能性が出てきたため、キナーゼ/ホスファターゼ阻害剤ライブラリー等を利用して、その検証と関与するキナーゼ/ホスファターゼの同定を行いたい。その上で、ERCC1やXPBにおけるリン酸化部位とユビキチン化部位を同定し、その変異体を作製して細胞内レベルやNER能に及ぼす影響を検討していく。一方、癌治療への応用の検討に関しては、残りのDNA傷害性抗がん剤のスクリーニングを早期に完了させ、新たに各種DDR因子阻害剤との組み合わせも調べていく予定である。また、構造活性相関解析からデザインされたA6の仮想高活性誘導体を実際に化学合成し、活性を比較して実用化を図っていきたい。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Rapid G0/1 transition and cell cycle progression in CD8+ T Cells compared to CD4+ T Cells following in vitro stimulation2017

    • 著者名/発表者名
      Mishima, T., Fukaya, S., Toda, S., Ando, Y., Matsunaga, T. and Inobe, M.
    • 雑誌名

      Microbiology and Immunology

      巻: 印刷中 ページ: -

    • DOI

      10.1111/1348-0421.12479

    • 査読あり
  • [学会発表] DNA修復因子の細胞内安定性を制御する機構の解析2017

    • 著者名/発表者名
      上田将信、大澤琢郎、小田桐周平、福島直紀、西永真理、若杉光生、松永 司
    • 学会等名
      日本薬学会第137回年会
    • 発表場所
      仙台国際センター(仙台市)
    • 年月日
      2017-03-25 – 2017-03-27
  • [学会発表] NER依存的な二次的DNA損傷生成におけるEXO1の関与の検討2017

    • 著者名/発表者名
      田中秀樹、石井利実、若杉光生、松永 司
    • 学会等名
      日本薬学会第137回年会
    • 発表場所
      仙台国際センター(仙台市)
    • 年月日
      2017-03-25 – 2017-03-27
  • [学会発表] NER阻害化合物A6のERCC1-XPF分解誘導メカニズムの解析2016

    • 著者名/発表者名
      小田桐周平、三島観知、若杉光生、上田将信、川原弘明、西永真理、河合秀彦、長田裕之、松永 司
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] ヌクレオチド除去修復欠損細胞で見られる紫外線誘発DNA損傷の消失2016

    • 著者名/発表者名
      岩崎真波、須田愛子、本田愛美、若杉光生、松永 司
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] ヌクレオチド除去修復阻害剤の作用機序に関する解析2016

    • 著者名/発表者名
      大澤琢郎、小田桐周平、上田将信、西永真理、若杉光生、松永 司
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第128回例会
    • 発表場所
      北陸大学(金沢市)
    • 年月日
      2016-11-27 – 2016-11-27
  • [学会発表] 新しい紫外線DNA損傷解析系とケミカルバイオロジーを利用したヌクレオチド除去修復研究2016

    • 著者名/発表者名
      松永 司、斎藤臣雄、長田裕之、遠藤良夫
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第59回大会
    • 発表場所
      JMSアステールプラザ(広島市)
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス皮膚におけるヌクレオチド除去修復に依存した二次的DNA損傷の生成と応答反応2016

    • 著者名/発表者名
      堀田侑希、若杉光生、善岡克次、田中亀代次、松永 司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第59回大会
    • 発表場所
      JMSアステールプラザ(広島市)
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [図書] 光と生命の事典2016

    • 著者名/発表者名
      日本光生物学協会 光と生命の事典 編集委員会 編
    • 総ページ数
      436
    • 出版者
      朝倉書店
  • [備考] 松永研究室|遺伝情報制御学

    • URL

      http://www.p.kanazawa-u.ac.jp/~iden/index.html

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公開日: 2018-01-16  

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