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2016 年度 実績報告書

ホルモン応答性なTopII依存的DNA切断修復異常による病態メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H02953
研究機関京都大学

研究代表者

笹沼 博之  京都大学, 医学研究科, 准教授 (00531691)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードトポイソメラーゼII型 / DNA損傷修復 / エトポシド / ゲノム編集 / 相同組換え / オーキシンデグロン
研究実績の概要

本研究課題の2016年度研究計画に書かれたことをほぼ全て完了させ、次のことを明らかにした。1、トポイソメラーゼII型酵素がDNAを切断後、再結合できずにDNA-TopII複合体が細胞の中には非常に多く存在すること、2、二重鎖切断端に共有結合したDNA-TopII複合体の除去にMre11が必須であること3、DNA-TopII複合体の除去に関与することが知られているTdp2酵素を過剰発現することによってMre11欠失による増殖阻害を回避できることを明らかにし、解析結果をまとめて国際誌に発表した。
また本年度は2017年度以降の研究計画の準備を行った。まず乳腺細胞であるMCF7, T47D細胞を使ったゲノム編集のプロトコールを確立した。このプロトコールを用いて、BRCA1欠損細胞MCF7, T47D細胞で樹立し、蛋白質が発現していないことを確認した。auxinデグロン法を用いた条件的ノックアウト細胞をTK6細胞で作製し、auxin添加依存的にBRCA1蛋白質が分解を受けることを確認した。本研究課題の研究計画の通り、2017年以降この細胞を使って、DNA-TopII複合体除去におけるBRCA1の機能とMre11との関係性を明らかにする。
TopII-DNA複合体除去に関わる因子を同定する目的で、3FLAGエピトープタグをゲノムにノックインし,3FLAG-BRCA1タンパク質を発現する細胞株の樹立に着手した。2017年後半に、エトポシド(TopII-DNA複合体を安定化する薬剤)とカンプトテシン(TopI-DNA複合体を安定化する薬剤)に3FLAG-BRCA1発現細胞を暴露し、免疫沈降+質量分析によってTopII-DNA複合体除去特異的に関与するBRCA1相互作用因子を同定する。
また2016年度には、申請者が所属する研究室と国立医薬品食品衛生研究所の本間正充部長の研究室が中心となりTK6コンソーシアムを設立し、ゲノム編集技術を利用して作製したDNA修復に関係したヒトTK6変異細胞、約40種類を一般に公開した(http://www.nihs.go.jp/dgm/index.html)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究課題の2016年度研究計画では、1,ヒトB細胞株(TK6)においてMre11とBRCA1等をゲノム編集(遺伝子破壊と点変異挿入)、2, Mre11又はBRCA1の欠損細胞において,DNA二重鎖切断端に共有結合したトポイソメラーゼII型酵素(TopII)の定量、3, Mre11欠損による細胞致死性をTDP2強制発現で抑制できるか否か解析することであった。
この研究成果を発展させ、Mre11の上流分子とされるBRCA1の機能解析を開始し、今のところ滞りなく2017年度の研究計画を進行させている。特にBRCA1の機能解析には、乳腺細胞であるMCF7とT-47D細胞を用いてBRCA1遺伝子破壊細胞を樹立できた。

今後の研究の推進方策

ニワトリDT40細胞とヒトTK6細胞、乳腺細胞MCF7とT-47D細胞のBRCA1ノックアウト細胞を用いて、DNA-TopII複合体除去におけるBRCA1の機能を明らかにする。具体的には、1、TK6, MCF7とT-47D細胞を用いてBRCA1細胞においてDNA-TopII複合体が蓄積しているか、2, ヒトTK6細胞を用いて、Mre11BRCA1二重変異細胞を作製して2つの関係を明らかにする。今後、これらの細胞を用いて、次世代シークエンサーを用いた転写解析を考えているため、2017年度は転写解析を行うためのコンピューター技術(Perl, R言語)の習得を行う。
また、DNA-TopII複合体除去に関わるBRCA1と相互作用する因子を同定することを目的として、3FLAGエピトープタグをBRCA1遺伝子座のスタートコドンにノックインした細胞を作製中である。3FLAG-BRCA1タンパク質を発現した細胞をエトポシド(DNA-TopII複合体を安定化する薬剤)暴露し、相互作用する因子を免疫沈降と質量分析を使って同定する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Mre11 Is Essential for the Removal of Lethal Topoisomerase 2 Covalent Cleavage Complexes2016

    • 著者名/発表者名
      Nguyen Ngoc Hoa, Tsubasa Shimizu, Zhong Wei Zhou, Zhao-Qi Wang, Rajashree A. Deshpande, Tanya T. Paull, Salma Akter, Masataka Tsuda, Ryohei Furuta, Ken Tsutsui, Shunichi Takeda, and Hiroyuki Sasanuma
    • 雑誌名

      Molecular Cell

      巻: 64 ページ: 580-592

    • DOI

      10.1016/j.molcel.2016.10.011

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Deazaflavin Inhibitors of Tyrosyl-DNA Phosphodiesterase 2 (TDP2) Specific for the Human Enzyme and Active against Cellular TDP22016

    • 著者名/発表者名
      Christophe Marchand, Monica Abdelmalak, Jayakanth Kankanala, Shar-Yin Huang, Evgeny Kiselev, Katherine Fesen, Kayo Kurahashi, Hiroyuki Sasanuma, Shunichi Takeda, Hideki Aihara, Zhengqiang Wang, and Yves Pommier
    • 雑誌名

      ACS Chemical Biology

      巻: 11 ページ: 1925-1933

    • DOI

      10.1021/acschembio.5b01047

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Poor recognition of O6-isopropyl dG by MGMT triggers double strand break-mediated cell death and micronucleus induction in FANC-deficient cells2016

    • 著者名/発表者名
      Kiyohiro Hashimoto, Vyom Sharma, Hiroyuki Sasanuma, Xu Tian, Minoru Takata, Shunichi Takeda, James A. Swenberg, Jun Nakamura
    • 雑誌名

      Oncotarget

      巻: 7 ページ: 59795-59808

    • DOI

      10.18632/oncotarget.10928

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Mre11 Is Essential for the Removal of Lethal Topoisomerase 2 Covalent Cleavage Complexes2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Sasanuma
    • 学会等名
      3R symposium
    • 発表場所
      島根県松江
    • 年月日
      2016-11-13 – 2016-11-17
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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