本研究の目的は、エストロゲンによって生じるDNA損傷の原因とその修復分子機構の解明にあった。本研究によって、性ホルモンが、DNA二重鎖切断端に共有結合したTop2(Top2 cleavage complex, Top2cc)を大量に作ること、その修復にBRCA1が重要な働きをしていることを見つけた。BRCA1は、Top2ccをDSB末端から切除するMRE11ヌクレアーゼの制御因子であることも明らかにした。以上の結果は、BRCA1を欠損すると、エストロゲンのDNA毒性が増強することを示す。BRCA1欠損によるエストロゲンのDNA毒性の増強は、乳がん卵巣がんを選択的に起こすのかを説明できる。
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