研究課題
DNA複製は、鋳型鎖上のDNA損傷部位において頻繁に停止している。この停止を解除する機構として、DNA損傷乗り越え機構が知られている。この機構は複製ポリメラーゼから、忠実度の低いTLSポリメラーゼにスイッチすることで損傷部位でのその場しのぎの複製を継続することが知られている。このほか、下流からの複製のリプライミング機構も複製停止解除に寄与することが知られている。申請者はTLSポリメラーゼのPolηとリプライミングに必要のPrimPolの関係を調査し、紫外線などのDNA損傷に対する応答において、相補的に機能することを示している。さらに、申請者は第3の複製停止トレランス経路として、複製ポリメラーゼδが損傷部位で誤りがちな複製を行い変異を伴いながら複製を継続する「複製ポリメラーゼによる損傷の乗り越え」を発見した。この機構も、TLSポリメラーゼのPolηの経路と相補的関係にあることを示している。本研究では、TLSポリメラーゼ群、複製ポリメラーゼδとε、リプライミングに必要のPrimPolプライマーゼがどのように連携し、ゲノム維持に寄与するのか解明する。2018年度には、下記3点を研究した。(1) TLSポリメラーゼの中で中心的役割を果たすPolηとその近縁酵素Polι及びPolκの2重破壊や、すべてを欠損した三重破壊細胞を系統的に作製しこれら酵素群の関係を調べ、損傷の種類(酸化、アルキル化、紫外線によるチミン二量体)ごとに異なる酵素の要求性があり、酵素の使い分けがあることを見出した。(2)複製ポリメラーゼδ複合体の相互作用因子を包括的に調査し、転写基本因子複合体の制御に関わる因子とのDNA損傷に応答した複合体形成を見出し、転写制御における損傷応答機構の一端を明らかにした。(3)ポリメラーゼεの複製フォークの安全な停止における機能を明らかにした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 8件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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