研究課題
1.バイオエアロゾルの研究(牧、小林);(1)バイオエアロゾルの捕集、分離培養と遺伝子解析:2016年から2018年の間の黄砂時に、観測用ヘリコプターを能登半島上空の高度千mから3千m に合計15回飛行させ、中国大陸から越境輸送される黄砂粒子を高高度で捕集した。一方、富山県立山の積雪に保存される黄砂粒子を、積雪断面から捕集した。採取した黄砂粒子試料に含まれる微生物群集を、培養を経ない遺伝子分析法(次世代シーケンサー)によって解析した結果、黄砂時の高高度には細菌だけでなく真菌(カビやきのこ胞子)も優占していることが判った。そこで、真菌を標的とした集積培養(真菌用ポテト培地を使った希釈培養法)を駆使して、計25株の真菌株を新たに得た。真菌株の優占種(全体の80%を占める)は、Ascomycota門のカビの種と近縁になり、一方、非優占種(20%以下)はBasidiomycota門のきのこの種に近くなった。一方、日本海上空の大陸から越境輸送される空中微生物の検出のために、南極観測船「しらせ」の日本海航海訓練において日本海上バイオエアロゾル捕集を実施し、真菌を中心に分析した。2.実験研究による有害微生物の影響評価(市瀬、吉田);(1)真菌のマウスアレルギー喘息誘導実験:平成30年度は能登半島上空3000mで捕集した黄砂エアロゾルから分離・培養した3種の真菌、Aspergillus niger(Asp)、Alternaria alternata(Alt)、Myriangium duriaei(Myr)(非優占種)とConiothyrium fuckelii(Conio)(優占種)を加えた4種の真菌について、マウス肺のアレルギー炎症誘発能の比較を行った結果、Alt<Asp<Myr<Conioの順に強く起こることが分かった。(2)真菌と黄砂とのマウスへの併用曝露実験:前記の真菌4種について黄砂との複合曝露を行い、肺のアレルギー炎症を比較した結果、Asp<Alt<Conio<Mryの順に強く誘導され、Myriangium duriaeiが最も黄砂によってアレルギー炎症が悪化されることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
学会賞等の受賞;牧輝弥, 乾燥地科学共同研究発表賞受賞「砂漠上空に舞い上がるバイオエアロゾルの発生メカニズムとその長距離輸送の解明」 メディア発表;牧輝弥, NHK Eテレ「サイエンスZERO」「キノコが雨を降らす!?空の微生物学者 気象のナゾに挑む」牧輝弥, BSフジ「一滴の向こう側」「第100回 微生物ハンター 空を飛ぶ」 雑誌;牧輝弥, 戦略経営者「上空3000メートルの菌から生まれた納豆」
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 3件、 招待講演 8件) 図書 (2件)
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