研究課題/領域番号 |
16H02973
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
益永 茂樹 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (50282950)
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研究分担者 |
中井 里史 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70217644)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ペルフルオロアルキル酸 / 前駆体 / 酸化分解 / 定量法 |
研究実績の概要 |
ペルフルオロアルキル酸(PFAA)の前駆体としてスルホンアミド系のN-メチルペルフルオロオクタンスルホン酸アミド酢酸(N-MeFOSAA)とフルオロテロマーアルコール系の8:2フルオロテロマーアルコール(8:2FTOH)を選択し、それらの分析方法を検討した。LC-MS/MS(ESI)によりN-MeFOSAAは容易に定量できたが、8:2FTOHは感度が低く、ガスクロマトグラフ-化学イオン化質量分析によって定量する必要があった。 水酸ラジカルを発生させるフェントン法とオゾン/アルカリ法、および、オゾン酸化法の3種によりN-MeFOSAAを対応するPFAAに定量的に変換することを目的として酸化分解実験を行った。フェントン法ではN-MeFOSAAの約62%が未分解のまま残存し、33%程度がペルフルオロオクタン酸(PFOA)となった。これに対し、オゾン/アルカリ法とオゾン法ではN-MeFOSAAの残存はそれぞれ5%と14%であったが、PFOAの生成率は14.3%と0%であり、大部分が中間分解産物で止まっていると推測された。また、何れの分解法でも炭素鎖長が8より短いPFAAの生成が見られた。フェントン法では試薬を3回に分割して投入する改良により、PFOAへの変換率を80%程度まで高めることができた。 他方、過硫酸カリウムを用いてアルカリ性下で発生させた水酸ラジカルを用いる酸化分解法については、分解時間の影響をN-MeFOSAAに対して詳細に検討した。その結果、共存有機物が多いと分解に必要な時間が長くなること、および分解時間が長くなると短鎖アルキル酸の生成が増えることが分かった。PFAAへの変換効率は過硫酸カリウム法が最も高かったことから、過硫酸カリウム法で分解時間を適切に管理することが有望と見られた。 関連する総説論文の執筆や実試料への応用の検討も並行して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表的なペルフルオロアルキル酸前駆体の定量法について目処がつき、オクタンスルホン酸アミド酢酸(N-MeFOSAA)については、4種の酸化分解法によって結果を比較することができた。結果を総合すると過硫酸カリウム法で分解時間を適切に管理することが有望であることがわかってきた。以上より、おおむね順調に進捗していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
ペルフルオロアルキル酸前駆体のもう一つの代表である、フロロテロマーアルコール系の物質についても酸化分解による総量定量の検討を進めることで、過硫酸カリウム法における適切な酸化分解条件の確立を目指す。また、過硫酸カリウム法の実環境試料への応用を進め、総量定量法としての検証を開始する。
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