研究課題/領域番号 |
16H02974
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
解良 芳夫 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (00137168)
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研究分担者 |
阿部 勝正 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (40509551)
高橋 祥司 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90324011)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環境技術 / 難分解性有害物 / 微生物分解 / 酵素 / 遺伝子 / 遺伝子発現調節 |
研究実績の概要 |
Tris(1,3-dichloro-2-propyl) phosphate (以下TDCPP) や tris(2-chloroethyl) phosphate (以下TCEP)などの塩素を含む有機リン酸トリエステル類は、難分解性で蓄積性もあり、種々の毒性を有する。我々が世界で初めて単離に成功した含塩素有機リン酸トリエステル類分解菌Sphingomonas sp. TDK1 株とSphingobium sp. TCM1 株に存在する初発分解酵素ホスホトリエステラーゼ(HAD)の発現調節機構と分解経路下流酵素をタンパク質レベル、遺伝子レベルで詳細に解析し、分解システムの全容を明らかにするとともに、分解システムの強化をはかり、当該化合物を含む廃水処理や環境保全・修復への応用技術の開発等に必要な基礎を築くことが本研究の目的である。平成28年度は以下の成果を上げた。 (1)TCM1 株ホスホジエステラーゼ(PDE)遺伝子の大腸菌発現系を作成し、PDE の大量発現に成功した。可溶性画分におけるPD E 活性は、対照の大腸菌では検出されなかったが、組換え PDE を発現している大腸菌では 2.92 μmol・min-1・mg-1であった。 (2)TCM1 株の PhoB 遺伝子破壊株の作成に成功した。今後、PhoB 遺伝子破壊株の生育挙動および TCEP や TDCPP 分解への影響の解析を予定している。 (3)TCM1 株 PhoB 遺伝子の大腸菌発現系を作成し、クロマトグラフィーを用いた精製により電気泳動的に単一な組換え PhoB の取得に成功した。また、精製した組換え TCM1 株 PhoB が自己リン酸化能を有していることを明らかにした。今後、取得した TCM1 株 PhoB のHAD 遺伝子プロモーター上の推定 Pho box への結合解析を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TDCPP やTCEP の分解過程に関与するTCM1 株のホスホジエステラーゼ遺伝子、アルカリ性フォスファターゼ遺伝子の大腸菌発現系の作成に成功したこと、TCM-HAD 遺伝子発現調節に関わる重要な因子であるPhoB 遺伝子破壊株の作成に成功したこと、TCM1 株 PhoB 遺伝子の大腸菌発現系を作成し、組換え PhoB精製標品が取得できたことなど。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究実績をふまえ、新年度当初に提出する科学研究費助成事業交付申請書の「本年度の研究実施計画」に記載する計画に従って、研究を推進する。
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