研究課題/領域番号 |
16H02978
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岩淵 範之 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (90328708)
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研究分担者 |
片山 義博 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10214339)
松藤 寛 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70287605)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 木質バイオマス / 有機蛍光物質 / 環境技術 / リグニン有効利用 / バイオプロセス |
研究実績の概要 |
申請者らは、これまでに、Pseudomonas sp. ITH-SA-1株が、低分子リグニン類の一種であるシリングアルデヒド(SYAL)を変換・重合し、結果として、ベンゼン環構造を含まない新規有機蛍光物質を生産することを明らかにしている。一般的に有機蛍光物質は、共役π電子の由来としてベンゼン環構造を含んでいるが、本有機蛍物質はその分子構造中にベンゼン環構造を含まない希少な有機蛍光物質であり、臨床診断薬や有機ELなどへの応用が期待されている有用な次世代化学品である。本研究では、その利用技術が限られている木質バイオマスからリグニン画分を抽出し、Pseudomonas sp. ITH-SA-1株を用いて蛍光物質を効果的に生産するための基礎的基盤を明らかにすることを目指して、以下の検討を行った。 1、木質バイオマスからのリグニン画分の抽出 広葉樹木粉を約1 kg用意し、これを数回に分け、同時糖化粉砕処理装置に供した。この処理では、リグニンと多糖画分の分離にはビーズを用い、多糖画分の低分子化には、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素カクテルを用いた。結果として合計で約200 gの低変性リグニンを取得した。得られたサンプルは次年度の研究に用いる予定である。 2、SYAL画分を用いたNAPSFAの生産 Pseudomonas sp. ITH-SA-1株によるSYALから有機蛍光物質への変換反応の効率化を行うために、各種中間代謝産物を基質として、生産効率の検討を行った。この過程で、SA-1株を使わないプロセス、すなわち非バイオプロセスでも本蛍光物質が生産されることが明らかとなった。また、蛍光物質生産菌の新たなスクリーニングの結果、SA-1株とは違う性質を有する蛍光物質性菌を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
木質バイオマスからの低変性リグニン画分の抽出が予定通り進行し、十分な量を確保できたことで、次年度以降、本サンプルを分解して取得した低分子リグニン類を使って、バイ由検討が出来るようになった。また、スクリーニングにおいて、SA-1株とは性質の違う蛍光物質を生産できる菌株を取得したことから、効率化に向けて有用な材料を得ることができた。以上のことから、本年度はおおむね順調に進展していると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度取得した低変性リグニンを分解し、低分子リグニン類を取得し、各種培養試験に居する。得られた蛍光物質は、これまでに開発されたストラテジーでその化学的性質を明らかにし、反応効率等を検討する。また、SA-1株とは性質の違う蛍光物質を生産できる菌株として単離された株については、微生物分類学的検討をするとともに、その代謝系、生産効率等を検討していく。
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