研究課題/領域番号 |
16H02982
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
徳本 勇人 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70405348)
|
研究分担者 |
大江 真道 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60244662)
星 英之 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (30301188)
倉橋 健介 大阪府立大学工業高等専門学校, 大阪府立大学工業高等専門学校, 講師 (60516821)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | バイオレメディエーション |
研究実績の概要 |
① R. erythropolis CS 98株を用いた微生物、線虫によるCs吸収実験 寒天培地及び、滅菌処理した土壌(大学構内の土壌を使用)にCs98株と線虫を植菌し培養した。Csを吸収したCs98株を線虫が食餌し、線虫体内に移行したCs量を測定しところ、回収率は30%以上であった。この結果から、Csを食物連鎖内で移行させることができるとの確証が得られた。また、引き続いて線虫によるCs吸収プロセスの最適化検討を行う。 ②137Cs吸収菌の同定とプロセス化に向けた基礎検討 嫌気発酵汚泥中から同定した、高Cs吸収菌であるTepidibacter mesophilusを理化学研究所バイオリソースセンターより購入し、137Cs放射能標準液を10~1000 Bq/mlとなるよう投入した培養液を用いて、137Csの吸収実験を行った。その結果、 好気性のR. erythropolis CS 98株よりは劣るものの、良好なCs吸収能を持つ嫌気性菌であることが明らかとなった。この菌は嫌気発酵汚泥中に広く存在するため、今後の検討課題において、モデル微生物として使用できる見通しを立てることができた。 ③本研究課題の特許出願と実証試験に向けた基礎検討 線虫は土壌微生物である。そこで、C. elegansをモデル線虫として、土壌に植菌し、そこへCsClを投与し、Cs吸収実験を行った。その結果、約3%の回収率を示した。この結果は回分培養の結果であり、ヒマワリ等の植物を用いた除染技術の12&という回収率には及ばないが、連続プロセス化の検討により、高効率なプロセスを構築できる可能性があり、成果について特許出願を果たした。また、C. elegansはCs回収に適した線虫ではないため、Cs吸収能の高い線虫を探索する、18S rRNA遺伝子を指標としたスクリーニング法を確立し、除染技術化に向けた検討を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
嫌気発酵汚泥をベースとした線虫の培養方法、Csを除去した土壌における植物栽培について、検討が遅れている。しかしながら、モデル微生物として、嫌気発酵汚泥中からTepidibacter mesophilusを同定することに成功し、かつ、Cs吸収に適した線虫の解析方法についても目途が立っている。また、実際の土壌を用いた線虫の培養実験にも着手しており、Cs吸収に関する嫌気発酵汚泥の解析、Cs回収に関わる土壌線虫の探索が順調であるため、これら遅れている検討課題はクリアできる見通しである。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題において、研究計画の変更や研究遂行上の問題は全くない。 今後の推進方策としては、①嫌気発酵汚泥中におけるCs吸収菌の増殖挙動と137Csの動態解析、②嫌気発酵汚泥中における線虫の増殖挙動、③高Cs吸収が可能な線虫の探索、④除染土壌の評価と、農作物に対する栽培特性の評価、を軸にして検討を進める。
|