研究課題
本研究では、ハロゲン化揮発法による固体廃棄物に含まれる有害微量元素の高度分離除去技術の開発を行うことを目的に実施した。本年度は、Cs、Co、Euなどのアルカリ金属、遷移金属、希土類元素 (ランタノイド)などについて、非放射性燃焼灰を使用して塩化および臭素化揮発実験を行い、揮発率の測定および揮発条件などについて明らかにした。また、 福島県内で採取された土壌試料と稲わらを燃やして得られたクリンカーに塩化揮発法を適用し、試料に含まれる放射性セシウムの濃度低減を確認した。(1)添加剤として30wt%のCaCl2あるいはCaBr2を加え、室温から200℃/hの速度で昇温し、1200℃、1300℃、1400℃、1500℃で30分保持して、燃焼灰に含まれる元素を揮発させた。残渣をフッ酸+硝酸の混酸に溶解し、ICP 質量分析計を用いて約35元素の揮発率測定を行った。この結果、全ての元素について、熱処理温度が高くなると揮発率も高くなる傾向が見られた。遷移金属ではZn、Cu、Co、Mn、Cr、Fe、V、Ti、アルカリ金属ではCs、 Rb、K、Na、Li。原子番号が大きな元素ほどハロゲン化揮発されやすい傾向を認めた。一方で、希土類元素の揮発率は、あまり高くなく最大でも数十%の範囲であった。(2)福島県内で採取された放射性セシウムを含む試料の塩化揮発実験を筑波大学アイソトープ環境動態研究センターで実施した。試料を添加剤と一定の重量比で混ぜ合わせ、電気炉を用いて900~1200℃の各温度で30分間加熱した。空冷した試料の放射能測定およびイメージングプレート(IP)像の撮影を行った。これにより、137Csの濃度低減率および137Csの試料内分布の変化を明らかにした。処理温度1100℃以上ではCaCl2添加量の増加にともない137Csが約90%以上減少することを認めた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fuel
巻: 214 ページ: 409~415
10.1016/j.fuel.2017.11.018