研究課題/領域番号 |
16H02987
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
酒井 宗寿 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (00392928)
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研究分担者 |
相澤 守 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10255713)
池上 啓太 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 准教授 (60372786)
Kalousek Vit 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 助教 (00749773)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 表面・界面物性 / 新エネルギー / 複合材料・物性 / ナノ材料 / 光触媒 / 人工光合成 / メソ孔・多孔体 / キャリア寿命 |
研究実績の概要 |
本研究は、グリーンテクノロジーに資する光誘起還元触媒に対し、物理化学的な視点(相界面制御と電気化学)から性能向上に取り組んでいる。その際、「常温作動の二酸化炭素濃縮領域」を形成させ、実用性に富んだ高効率環境負荷低減材料(二酸化炭素還元)の開発を目指してきた。これは、「二酸化炭素を光触媒近傍に濃密に配し、その還元を促進させる」という材料設計コンセプトを、「常温で作動する“K-Al系複合酸化物”」と「共連続メソポーラス孔を有する“光誘起還元触媒”の多孔質ナノ粒子」を複合化することで実現し、取扱いが容易で高効率な二酸化炭素還元材料を提供することを狙いとしている。 現状、ウェットプロセスを用いた2つの組成の粒子複合化(二酸化炭素吸着材:K-Al系複合酸化物の粒径数μmの多孔質体と、チタン酸ストロンチウム粒子の複合化)の条件探索を進め、そのノウハウを蓄積しつつある。さらに、ウェットプロセス以外での複合化についても、探求を開始した。一方、バナジウム酸ビスマス等を用いたナノ粒子の光電極化についても、作製ノウハウを蓄積させつつある。 また、本研究において、光触媒還元能とキャリア寿命の間の関係を考察していくことを研究目的の主眼の一つに挙げている。本研究で「キャリア寿命」の計測に用いる「マイクロ波光導電減衰法」は、電極や薄膜の形成を必要としない粉末状態(実際に光触媒がワークさせる状態と同じ環境)でキャリア寿命を計測することが特徴であるが、一つの閾値と予想していた「評価手法と解析方法の探索」は、ほぼ達成できた。今後、各種の光触媒のキャリア寿命の測定を進め、電子寿命と光触媒活性の間の学理の追求を深め、関連する相界面の探求も同時に進展させていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウェットプロセスを用いた粒子複合化(チタン酸ストロンチウムと二酸化炭素吸着材)の条件探索は、一定の進展を得ている。一方、バナジウム酸ビスマスのナノ粒子の光電極化についても、作製ノウハウの蓄積が進んできている。また、本研究において、光触媒還元能とキャリア寿命の間の関係を考察していくことを研究目的の主眼の一つに挙げているが、マイクロ波光導電減衰法を用いた「キャリアライフタイム」の計測において、電極形成を必要としない粉末状態の無機系光触媒の評価が可能であることをすでに確認し、関連する相界面制御についても、新規の基礎的知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
現状では、大幅な分担等の役割変更の必要性は、積極的な理由が存在しない。ウェットプロセスを用いた粒子複合化(チタン酸ストロンチウムと二酸化炭素吸着材)の条件探索や、バナジウム酸ビスマスのナノ粒子の光電極化の作製ノウハウの蓄積が進んできているが、最終年度であることを踏まえ、光触媒能のを最大限発揮できる材料設計指針の確立を試みる。 一方、電極形成を必要としない粉末状態(実際に光触媒がワークさせる状態と同じ環境)を特徴としたキャリア寿命計測については、その「評価手法と解析方法の探索」はほぼ終了しており、各種の光触媒のキャリア寿命の測定を進め、電子寿命と光触媒活性の間の学理の追求を進展させていきたい。 また、二酸化炭素還元光触媒としての国際的な競争力の確保には、光電気化学的な計測や活性評価方法等の正当性の確保をさらに進めることにより、相対的優位性の根拠をより強く示すデーターを取得する必要性を認識している。さらに、界面剥離等の耐久性に関する課題も、同時に、考慮していくことが望ましい。
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