研究課題
福島第一原子力発電所事故による放射性セシウム汚染の2013年の林床処理対策による森林生態系の反応を、福島県川俣町の里山にて7年間継続測定した。以下の数値はすべて2011年3月15日基準で半減期補正した。2013年のCs137の林冠から林床への供給は、いずれの試験区でもリターフォールだけで5kBq/㎡前後だったのが、2019年には、対照区で林内雨・樹幹流あわせ計2.9 kBq/㎡になったが、林床リター除去処理で1.6kBq/㎡、有機物層全除去処理で1.5kBq/㎡と対照区の約半分に減少した。このうち、広葉樹落葉による対照区のCs137供給量には大きな変化がなく、他の試験区の広葉樹落葉によるCs137供給量は、対照区の約半分の数値で推移した。2016年から2019年の間の試験地ごとの年間木部不動化量を推定すると、対照区では毎年 870 Bq/㎡、有機物層全除去処理区では 240 Bq/㎡、林床リター除去処理区では 105 Bq/㎡、Cs137 が木部に不動化されていた。林床リター除去処理は、まず広葉樹落葉のCs137低下に効果を発揮し、次第に林内雨中の濃度低下に効果が出て、6年後にはリター除去量に相当するCs137林地全供給量と樹体内不動化量の削減効果があった。除染が実施された農家圃場を対象とし、客土と除染以前から存在していたと推定される下層土を比較し、肥沃度低下の実態を調査した。また、緑肥作物栽培試験を行い土壌理化学性への影響を調査した。農家内畑地の客土層と下層土を比較すると全炭素は客土層で下層土の20%、全窒素や陽イオン交換容量は約半分に減少していた。栽培試験の結果、対照区と比べ緑肥栽培区において土壌中の交換性陽イオン、全炭素、全窒素、可給態リン酸量、腐植率、可給態窒素で改善が見られ、土壌微生物バイオマス量の増加も観察されるなど、土壌肥沃度の改良効果が一定程度見られた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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