本研究課題では、阪神都市圏の都市域から里山域にかけて水田の畦畔を対象に、維管束植物や植食性昆虫、その種間相互作用ネットワークを調べ、都市化の種・機能群多様性やネットワークの構造の影響を解析した。結果、都市水田で調査した分類群の種多様性減少が確認された。この減少は、水田周囲の生育地減少(周囲1kmの農地減少)、景観非接続(最近接二次林との距離増加)や生育地の質的変化(土壌pHや草刈りの増加)等によって引き起こされていた。送粉ネットワークは都市化に伴い、構造が変化し,野生植物群集への送粉サービスが低下していた。都市化は高い生物多様性を涵養する水田生態系へ多大な影響を与えてきたことが示された。
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