研究課題
本研究は「A.都市緑地の環境緩和機能」「B.生物多様性維持機能」「C.生態的機能の活用」の3つの課題からなる.課題Aについては,環境緩和機能評価の基礎となる気温・地温の移動観測を簡易的に行うための送風機付温度計を試作した.東京都内の都市公園において実際に移動観測を実施し,温度環境のマッピングを行うことでその有効性を確認した.また,昨年度に引き続いて都市の植栽樹群下における気温・地温・林内雨の観測を行い,樹冠による日射遮断が必ずしも気温を低下させていないことを明らかにするとともに,降雨の樹冠遮断量を評価することができた.課題Bについては,都市緑地における植物の種多様性の評価のため,小中学校の植物相調査を行った.東京都府中市の12校で調査を行い,前年度までに得られたデータに加えて解析した結果,学校敷地が市内の在来植物相の約半数を保持していることがわかった.また,都市緑地の哺乳類の生息地としての機能を評価するため,緑地に生息するタヌキおよびハクビシンの行動圏と食性分析を行い,これらの哺乳類が緑地内で繁殖可能な程度の空間と餌資源が提供されていることがわかった.その一方で,都市緑地の樹木果実などが餌資源となって外来哺乳類による農業・住宅被害が誘発されるリスクも指摘した.課題Cについては,緑地に植栽されている樹木の粉塵補足機能の調査を行った.粉塵捕集機能はスダジイやマテバシイのような常緑樹で高く,とくに樹冠下層の葉で付着量が多いことがわかった.また,粉塵に含まれる金属濃度の分析から,道路・自動車由来の粉塵が補足されていることが確かめられた.一方,都市緑地がもたらす負の側面として,緑化に用いられる花粉症原因植物ネズミムギの花粉飛散時期と飛散量の測定を行った.その結果,発生源から5m以内での飛散量が特に多く,草刈りの時期によっては年2回の開花を促してしまうおそれがあることがわかった.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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