研究課題/領域番号 |
16H03014
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤井 晴行 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (50313341)
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研究分担者 |
渡辺 俊 筑波大学, システム情報系, 教授 (60212320)
大崎 純 京都大学, 工学研究科, 教授 (40176855)
長坂 一郎 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10314501)
小林 祐貴 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (70756668)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デザイン科学 / 論理 / 数理 / 図式 / 機械学習 / 生成文法 / 証明論 / 意味論 |
研究実績の概要 |
デザインにおける記号操作と記号が指示する実体との関係をモデル理論的意味論を踏まえて整理するとともに,空間設計における記号(言語)と指示対象(実体)との対応づけを媒介する半言語的な存在である空間図式について考察し,記号,空間図式,実体の関係を抽出するためのフィールド調査とエンジニアリングデザインを学ぶ学生を対象とする実験を行った. デザインを構成的プロセスとして捉えるための数理的基盤として,最適化と機械学習に焦点を絞って,建築構造設計のための方法論を展開した.具体的には,トラス構造の概形を指定して最適化する方法と,骨組のブレース配置における優良解を学習する方法を提案した. 図式的基盤として,日本の伝統的な民家・町屋・合掌造りの形態を創発する形態文法(Shape Grammar)について分析し,それらをCGA言語により記述することで具体的な3Dモデルの生成を実現した.また,ル・コルビジェが提唱したモデュロールによる羽目板遊びを事例に,デザインにおける解の無限性を深さ優先探索のプログラムにより厳密に探求した. 論理的基盤として,デザイン行為における無時間的な要求を命題的要求,時間的な前後関係の情報を含む要求を使用要求,ユーザーによる人工物の使用に関する要求を構成要求と呼び,これらの要求のあり方について構成的数学の証明行為との対応を参照しながら分析を行った. 沖縄の伝統的な民家を対象として,空間の隣接,接続関係をグラフとして表現し,ネットワーク分析により中心性の高い空間,空間同士のまとまりを確認し,これまでの定性的な分析と照らし合わせた.また,南面ファサードに着目し,ファサードを記号列とみなして生成文法を作成し,民家構成の規則を探求した. 数理的基盤,図式的基盤,論理的基盤における基本的な計算を行うプログラムを作成し,これらの解説テキストを作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数理,図式,論理の各基盤における記号操作(計算)のプログラミングと理論的考察は当初の予定よりも先に進んでいる.デザインの実践における記号操作の意味を考察するための実験やフィールド調査の準備を,試行しながら,整えつつある.
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今後の研究の推進方策 |
数理,図式,論理の各基盤からの理論的考察は当該年度のペースをダウンすることなく継続する.これらの考察を実態的なデータと関連づけるべく実験とフィールド調査を研究計画通り遂行する.数理,図式,論理の各基盤を関連づける理論的考察とその計算プログラムの作成を加速する. 数理的基盤に関しては,計画の遂行を継続する. 図式的基盤に関しては,引き続き,建築空間を図式として記述・操作する方法を探求するとともに,具体的なプログラムとして実装することを継続する.また,分析の対象についても,建築デザインだけでなく都市デザインのコンテクストにまで広げていく. 論理的基盤に関しては,デザイン行為と構成的数学の証明行為の間に自然な対応を見つけ出し,3種類の要求条件の調和を求める行為としてデザイン行為を捉える.これに基づき,デザイン行為の論理的基盤の定式化を進める.
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