研究課題/領域番号 |
16H03020
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
樋口 明彦 九州大学, 工学研究院, 准教授 (30315105)
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研究分担者 |
榎本 碧 九州大学, 工学研究院, 特任助教 (40713277)
永村 景子 日本大学, 生産工学部, 助教 (50713260)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バリアフリー歩道 / スギ材 / 視覚障害者 / 官能評価 / 音響特性 / 打音 / acoustic wayfinding |
研究実績の概要 |
本研究は、屋外環境下にて木材の音響特性を利用したバリアフリー歩道の有効性を明らかにする基礎研究である。一般的に用いられる誘導用ブロックは、表面の突起が車いす利用者らにとってバリアとなることが指摘されている。本研究は、国産スギ材の白杖による打音に着目し、誘導用ブロックを用いず、左右の面で異なる舗装材料(スギのウッドデッキ材と汎用材)を用い、白杖による打音の違いで視覚障がい者を誘導するバリアフリー歩道の開発を目指し、歩道にスギのウッドデッキ舗装材を用いた際の視覚障がい者誘導性能を試験舗装を用いた官能試験により検証する。 今年度は昨年度の材料試験および健常者に対する室内での官能評価試験の結果をもとに、視覚障害者を対象とした室内での白杖の打音の官能評価試験を行った。音響試験およびアイマスクを使用した晴眼者に対する感応評価試験により構造による音響特性の違いを比較した。試験は、JIS Z 8144の1対2点識別法を用いて官能評価試験を行った。試験には木材2種類、コンクリート、アスファルト、インターロッキングブロックの5つの舗装材料を用いた試験舗装サンプルを用いた。それぞれの舗装の組み合わせ全10通りについて白杖でたたいた時の打音を比較し、音の違いだけで舗装が判別できるかの評価を行った。また、音の違いの程度について5段階評価で評価した。 結果として、木材の板材38mm厚さで根太下空間を90mmとった舗装材については、他の舗装材のどの組み合わせであっても音の違いが判別できることが明らかになった。また違いの程度については、歩行訓練歴、既往歴、日ごろから音を空間認識の判断材料に使用しているかなどにより違いがみられたが、被験者数が少なく統計的に優位な結論は得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の段階で実際に屋外で施工することを前提とした歩道構造とそれに使用する舗装材料のパターンを想定した試験を実施し、試験舗装の構造の検討を進めたため、おおむね予定通りに研究は進展している。 また、昨年度終了していなかった視覚障害者の方の実際に屋外で歩行するときに認知について今年度の官能評価試験の際に聞き取りを行い、音による空間認識について整理できた。
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今後の研究の推進方策 |
試験舗装を施工する場所を早急に決定し、設計を行う。また、できるだけ試験舗装の歩行試験を行っていただく被験者数を増やすよう試験方法を検討する。
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