研究課題
渋味物質が口腔内だけでなく消化管内においても受容されることを想定し、その生体応答の解析・検証により渋味の担う生理機能を解き明かすことで、未だ曖昧な渋味の生理的意義を解明することを目的とし研究を進めた。先行研究により得られた知見より渋味物質は分子会性や細胞膜蓄積性を示す。分子会合性や細胞膜蓄積性を指標に様々なポリフェノール(主にフラボノイド類とフェノール酸類およびその類縁体)を用いてスクリーニングを実施し、ガレート型カテキン、テアフラビン類、プロシアニジン類に加え、フラボノール類(ミリセチン、モリン)やロスマリン酸等が渋味物質であることを確認した。また、水溶性の低いフラボノイド類や水溶性の高いフェノール酸類の多くは渋味を有さない(あるいは弱い)ことを確認した。得られた成果の一部は学会・シンポジウムにて発表した。カテキン類、テアフラビン類、プロシアニジン類について、抗肥満の観点から生理機能を評価した。胆汁酸ミセル形成阻害(界面活性)、胆汁酸吸収(トランスポーター阻害)、食欲抑制(レプチン産生)、血流・代謝亢進作用を評価し、渋味の強いもの強い活性を示す可能性を見出した。特にガレート型テアフラビン類は、そのすべてで高い活性を示すことが明らかになった。得られた成果の一部は学会・シンポジウムにて発表するとともに、特許出願した。
2: おおむね順調に進展している
目標としていた渋味物質のスクリーニング・同定が進んでいる。また、先行研究で見出した渋味物質の生理機能評価も進み、カテキン類とテアフラビン類については、新たな生理機能を見出した。
渋味物質に特有の生理機能の発見とメカニズムの解明を目指し、引き続き渋味物質の生理機能評価を進めていく。特に、スクリーニングにより新たに見出した渋味物質について評価を進め、情報を集積することで渋味の強弱と生理機能の強弱との関連性を明らかにしていく予定である。
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Journal of Nutritional Biochemistry
巻: 32 ページ: 107-114
10.1016/j.jnutbio.2016.01.012
http://www.nutr.kobegakuin.ac.jp/~foodsci/index.html