研究課題
本研究の目的は、ブロッコリーの新芽などのアブラナ科野菜に含まれるスルフォラファン配糖体(SGS)によるエネルギー代謝調節機構と肥満関連疾患の予防改善効果を明らかにし、新しい抗肥満食品の開発に向けた研究基盤を確立することである。具体的には、SGSによる1)褐色脂肪化を介したエネルギー代謝活性化の分子機構、2)‘肥満型’腸内菌叢 の形成抑制による炎症誘導の抑止、3)慢性炎症を病態基盤とするインスリン抵抗性や脂肪性肝炎の発症予防等、SGSの新たな生体調節機能を解明することを目的として、研究を進めている。本年度は、SGSが生体のエネルギー代謝を活性化し、肥満形成を予防・抑制することを見出し、そのメカニズムに関し報告した(Diabetes 2017)。具体的には、8週齢の雄性C57BL/6Jマウスに高脂肪食、またはSGSを混ぜた高脂肪食を与え、体重と体脂肪組成を比較した。SGSを混ぜた高脂肪食を与えたマウスでは、混ぜていない高脂肪食を与えたマウスと比較して、摂餌量に変化はないものの、体重増加率が約15%抑えられ、内臓脂肪量が約20%減少し、脂肪肝と血糖値が改善された。さらに、グルコラファニンを摂取したマウスは体温が約0.5℃上昇しており、熱産生の亢進によるエネルギー消費量の増大を示唆していた。その作用機序の一つとして、SGSがミトコンドリア膜に存在し、熱産生を担う脱共役タンパク質(Ucp1: Uncoupling protein 1)を白色脂肪組織において増加させることを見出し、報告した(Diabetes 2017)
2: おおむね順調に進展している
基本となるデータをDiabetes誌に報告し、脂肪肝への作用などのさらに研究は進捗している。
肥満抑制から、脂肪肝や慢性炎症を改善するメカニズムについて、野生型マウス、遺伝子改変マウスを用いて詳細に検討する。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件)
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