研究課題
本研究の目的は、ブロッコリーの新芽などのアブラナ科野菜に含まれるスルフォラファン配糖体(SGS)によるエネルギー代謝調節機構と肥満関連疾患の予防改善効果を明らかにし、新しい抗肥満食品の開発に向けた研究基盤を確立することである。具体的には、SGSによる1)褐色脂肪化を介したエネルギー代謝活性化の分子機構、2)‘肥満型’腸内菌叢 の形成抑制による炎症誘導の抑止、3)慢性炎症を病態基盤とするインスリン抵抗性の発症予防等、SGSの新たな生体調節機能を解明することを目的として、研究を進めている。本年度は、SGSが生体のエネルギー代謝を活性化し、肥満形成を予防・抑制するメカニズムに関し、SGSの標的分子であるNrf2に着目して検討を行った。具体的には、8週齢の雄性C57BL/6Jマウス(野生型)およびNrf2欠損マウスに高脂肪食、またはSGSを混ぜた高脂肪食を与え、体重や代謝表現型を比較検討したした。野生型マウスでみられたSGS投与による肥満抑制、内臓脂肪や脂肪肝の減少、血糖値の低下は、Nrf2欠損マウスではみられず、抗肥満・抗糖尿病効果、エネルギー消費の増大、および脱共役タンパク質(Ucp1: Uncouplingprotein 1)発現の誘導がNrf2欠損マウスではほぼ完全に消失していた。これらの知見は、スルフォラファンによるNrf2活性化がUcp1による熱産生を亢進させ、エネルギー消費の増大を介して抗肥満に働く可能性を示している。以上、SGSによる抗肥満・抗糖尿病効果、エネルギー消費の増大はNrf2を介した作用であることを原著論文(Diabetes 2017)および本年度は総説において解説した(Adipocyte 2018)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 9件) 図書 (6件)
IUBMB Life
巻: 71 ページ: 516-522
10.1002/iub.1991, 2018
EBioMedicine
巻: 36 ページ: 329-346
10.1016/j.ebiom.2018.09.048.
Adipocyte
巻: 7 ページ: 218-225
10.1080/21623945.2018.1474669
Oncotarget
巻: 9 ページ: 16400-16417
10.18632/oncotarget.24711.
Endocr J
巻: 65 ページ: 569-578
10.1507/endocrj.EJ17-0500
巻: 9 ページ: 15047-15060
10.18632/oncotarget.24587
BMJ Open Diabetes Res Care
巻: 17 ページ: e000469
10.1136/bmjdrc-2017-000469.