私達は、食品成分の機能性を核内受容体PPARの活性化を指標として評価する系を、これまでに確立している。本研究ではこの評価系を指標として、食品機能成分がどのような機構でどのような分子が制御を受けて、生活習慣病発症に関連する代謝系を改善するのかを、植物性ポリフェノールのレスベラトロールに注目し、以下のことを明らかにした。 1)私達は、レスベラトロールによるPPARα活性化がcAMP依存性ぽスポジエステラーゼ阻害剤存在下で増強されることを、細胞培養とマウスを用いた生体において明らかにしている。さらに、cAMP産生酵素アデニル酸シクラーゼの活性化剤の存在下においても、培養細胞でレスベラトロールによるPPARα活性化が増強されることを見出している。そこで、アデニル酸シクラーゼ活性化剤をレスベラトロールとともにマウスに摂取させ検討した。その結果、培養細胞と同様に生体においても細胞内のcAMPを維持する条件でレスベラトロールによるPPARα活性化が増強された。以上より、レスベラトロールによるPPARα活性化はcAMPを介して制御されることが明らかとなった。 2)食品中には、レスベラトロールにグルコースが結合した配糖体が多く含まれている。一般的に、ポリフェノールの配糖体は生体での吸収率、利用効率が良いと言われている。そこで、レスベラトロール配糖体のピセイドのPPARα活性化を検討した。マウスにピセイドを摂取させたところ、PPARα依存的な遊離脂肪酸の減少、PPAR応答遺伝子の発現誘導がが認められた。その効果はレスベラトロールを摂取させた場合と同程度であったが、より強い活性化は見られなかった。現在、レスベラトロールとピセイドの投与期間や投与濃度などの検討やそれぞれの吸収率の比較等、さらに検討を続けている、
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