食に対する嗜好性は様々な要因によって変化することが知られている。しかしながら、嗜好性変化の発生機構の詳細について、未だ不明な点が多い。本研究では、食経験による嗜好性変化の主たる要因が中枢における味覚認識機構に存在するという仮説のもと、味覚伝達に関わる中枢における過去の呈味刺激依存的な変化の検出を試みた。加えて、幼少期の食経験が摂食行動に与える影響を検討した。その結果、食経験に伴う食嗜好性の変化に中枢の視床下部や扁桃体が関与している可能性を示すことができた。さらに、食刺激が長期的な食選択にも影響を及ぼす可能性を見出した。これら結果は今後の食嗜好性研究に大きく貢献することが期待される。
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