研究課題/領域番号 |
16H03046
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
竹谷 豊 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (30263825)
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研究分担者 |
増田 真志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (50754488)
山本 浩範 仁愛大学, 人間生活学部, 教授 (60314861)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リン / klotho / ライフステージ / エピゲノム / 骨 |
研究実績の概要 |
本研究は、現時点で適切な摂取量の評価指標がないリンについて、継続的なリン過剰摂取により引き起こされるリン代謝調節関連遺伝子のエピゲノム変化を指標とし、日常的に摂取する食事中のリンについて質的・量的に評価する技術を開発しようというものである。当該目的を達成するために、本年度は、1、妊娠時、離乳後あるいは成熟後のリン過剰負荷が、α-klotho遺伝子のエピゲノム変化に及ぼす影響および2、ヒトにおけるリン過剰摂取によるα-klotho遺伝子のエピゲノム変化の同定について研究を行った。1、では、妊娠時や離乳後の食事性リン負荷によるエピゲノム変化について検討を進めたところ、妊娠期の母マウスに高リン食を投与し、生まれてきた仔マウスへの影響を解析したところ、新たに骨から分泌されるリン代謝調節ホルモンの分泌量に違いが生じていること、および、骨組織におけるメチル化酵素の誘導が生じていることを明らかにした。このことは、食事性リンによりエピゲノム変化を生じる臓器が骨であることを示唆するものである。現在、このメチル化酵素の標的遺伝子の探索を進めている。2、については、健常被験者100名を対象として、日常的なリン摂取量を質問票による栄養摂取量調査(BDHQ法あるいは他の質問票)により解析するために、新たな質問票を開発し、その妥当性を検証した。また、これらの方法によりリン摂取量を測定するとともに、それぞれの対象者よりDNAを抽出し、α-klotho遺伝子のエピゲノム変化の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、継続的なリン過剰摂取によるαーklotho以外のエピゲノム変化について、あらたな標的臓器として骨を見いだすことができ、骨から分泌されるリン代謝調節ホルモンの遺伝子を候補遺伝子とすることができた。また、ヒトにおける日常的なリン摂取状況を把握するための質問票の開発ができたこと、100名を対象に食事調査とメチル化解析のための十分なDNAサンプルの収集ができたことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
リン過剰摂取によるエピゲノム変化の標的が新たに骨であることがわかったことから、骨におけるDNAメチル化の標的を明らかにすることと、それによるリン代謝調節ホルモンの分泌制御機構について解明を進める。また、ヒトにおけるDNAメチル化解析を進め、リン摂取量との関連を分析することで、日常的なリン摂取量の評価指標としてエピゲノム変化が活用できることを示すことを目指す。
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