研究課題/領域番号 |
16H03047
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
等々力 英美 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 協力研究員 (60175479)
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研究分担者 |
高倉 実 琉球大学, 医学部, 教授 (70163186)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 食育介入研究 / 家庭 / 行動変容 / 層別無作為割付比較試験 / 沖縄 / 食育教材 / 健康と食育授業 / 子供から親への働きかけ |
研究実績の概要 |
(1)沖縄県N市立小学校20校在籍の小学生4,5年生と、研究参加への同意が得られた保護者を対象に層別無作為割り付けによるクロスオーバー介入試験参加の4,5年生のベースラインデータを用いた。介入は、食育授業と親子間の会話と栄養知識を促進させる食育教材を用いた。大規模校と小・中規模校別に層別化を行い無作為に前期と後期介入校群に10校ずつ2グループに割り付けた。解析は一定の基準を満たし、保護者の質問票における所得・教育歴とマッチした児童721名(男子318名、女子403名)を対象に、保護者データからカテゴリー化した所得・教育歴により児童を群分けし、児童の食品摂取量、栄養知識質問票正解率の群間比較をANOVAで実施した。栄養知識質問票正答率は男子69.1%、女子68.7%で、児童正答率に男女差はなかった。保護者の所得レベルが高いと、児童全体では有意に栄養知識正答率(p=0.056)、野菜摂取量(0.0025)、果物摂取量(0.01)が多いが、男女差は見られなかった。保護者の経済・所得レベルは、児童の健康的な食事と関連する可能性が示唆された。 (2) (1)の介入開始6ヶ月後の、知識正答率、野菜・果物・ナトリウム摂取の変化量を前期介入群と後期介入群のそれぞれで算出し、t検定を用いて群間差(95%信頼区間)を推定した。また、収入や教育歴、家庭内会話レベルの層別でも同様に解析した。開始時点で児童と保護者を突合できた804組のうち、6か月時点まで追跡できた383組(47.6%)を分析した。開始時点の各群の基本特性で有意差はなかった。サブ解析によると高収入群で果物摂取量が有意に多く、高学歴群と家庭内の会話が多い群でナトリウム摂取量が有意に低くなった。対象者全体では食育による知識や食品摂取への効果はみられなかった。しかしながら、社会経済状況や家庭内会話レベルによって、児童の食品摂取量が変化する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの収集と構築は順調に進んだ。 疫学研究の結果について、研究分担者,研究協力者とともに論文化に向けて緊密に連絡を行っており、本研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)すでに得られた栄養知識質問票、栄養摂取調査票、生活習慣質問票を集計し、栄養知識と栄養調査結果から、両者の関連性について、さまざまな交絡因子を考慮した解析を行う。 (2)社会経済状況や家庭内会話レベルによって、児童の食品摂取量変化について詳細を検討する。さらに、学校・家庭における食育において、学校給食や食育教材による介入効果について解析を継続する。 (3)対象に教科カリキュラムに関連させた内容の食育プログラムによる無作為化割付試験の結果から、カリキュラムの有効性を確かめるとともに、栄養知識と栄養摂取、栄養摂取と健康指標の因果関係を明らかにする。
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