本研究は,地域の理科教育をシステムとして捉え直し,その中で中核的理科教員CST(コア・サイエンス・ティーチャー)が推進役となり,理科教育の実態を改善していくことを可能とする条件と手続きを明らかにすることを目指した。4年計画の最終年度である本年度は以下の研究を実施した。 ①平成30年4月に実施された全国学力学習状況調査理科における本研究協力校の結果を分析し,理科学力と理科への意識の両面で改善を図る本研究の活動計画を評価し,その効果を明らかにするとともに,より効果的な活動とするための課題を明らかにした。 ②地域レベルの理科教育が改善される過程を質的事例調査により記述し,理科教育改善のシステムフローを明確化するとともに,具体的な事例を含めて小中学校や教育委員会が利用できる資料として作成した。また,研究協力校で実施してきた児童生徒の学力や意識の実態調査の分析から,学力向上に関する知見を明らかにした。さらに,児童生徒の意識調査を地域の一般校に拡大し,研究成果を普及させる上での課題を抽出した。その際,理科以外の教科・領域に関する児童生徒の意識を調査内容に含めることで,学校全体で教育改善に取り組めるものとした。 ③研究成果を学術論文(査読付)にて発表するとともに,国内と海外(英国)の理科教育学会で発表し,本研究領域への学術的な関心を喚起した。そして研究成果報告書をとりまとめ公開するとともに,主要な成果をホームページに掲載し,広く利用できるものとした。
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