研究課題
中学校の理科や技術・家庭科、高等学校農業専門科目「森林科学」等において、森林の働き、森林資源の持続的な利用に向けた森林育成や木材生産の技術を学習する。一方で、教科書の内容は森林資源の保全や木材の性質、木工作に関する記述に偏っていることが問題とされている。平成30年度では、森林の多面的機能(特に水土保全機能)の科学的評価および森林施業計画の立案など、中学生および高校生の発達段階に応じた森林の育成と利用に関する技術的素養(技術リテラシー)の向上を目的とした教材作成ならびに実践的・体験的な指導内容を提案することを目的に、授業実践を行った。中学校理科第2分野「気象とその変化」ならびに高等学校「森林科学」では、雨、雪などの降水現象に関連させて水の循環を扱う。本研究では、中学生ならびに農業専門科目を学ぶ高校生に森林の保水力について考察させることを目的とし、田中ら(2016)が考案した簡易散水装置を使用し、2018年6月に高校2年生14名、2018年11月に中学2年生(1クラス30~32人)を対象とした人工降雨実験の授業実践を行った。実験装置は、ほとんどが100円ショップで購入できる物品で構成されており、学校で用意しやすい。授業では、教師側で実験装置の使用方法を演示することで、地表面流の回収や測定方法の理解を助けていた。林地では、散水したほぼ全量が地面にしみこんだこと、一方でグラウンド(裸地)で行った実験では、繰り返し散水すると地表面流が増加する様子が観察できた。生徒は、実験から林地の土壌の物理性と保水力との関係について考察することができた。この授業実践により、森林の多面的機能、特に水土保全機能の科学的評価についての授業モデルを構築することができ、本研究の目的を達成した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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