研究課題
数学知識の存在理由を数学的リテラシーの観点から捉える認識枠組みの精緻化、工学の実際の応用事例を元にした多変数関数の微積分の教材開発、非認知的能力の評価も含めた授業評価の試行に取り組み、以下の成果を得た。認識枠組みについては、数学の各知識の存在理由をそれが問題解決の過程でどのような行為のために用いられるかの観点から枠組みの精緻化を行い、数学が用いられる問題解決過程についての授業開発や授業分析に用いやすいモデルを構築するとともに、そのモデルに基づいて、問題解決過程における各段階で必要とされる具体的行為、その行為のために必要となる数学、さらに、その数学がなぜそこで用いられるのかについての本質的理由の3つを互いに結びつけて数学の存在理由を捉えるための認識枠組みを構築した。さらに、この枠組みを用いた授業デザインの枠組みも示した。これらの枠組みは文系学生向けの数学教育の実践例の分析をもとに構築されたものであるが、構築した枠組みを振り返って検討することで、理工系での数学教育にも適用可能であることもわかった。多変数関数の微積分の教材開発については、偏微分から全微分までの内容について、工学の専門分野での応用例をもとにした一連の教材を作成した。授業評価については、授業で回収する学生の自由記述コメントの分析を通して学習者の変容をとらえることを試み、コメント中に非認知的能力に関する記述が豊富に含まれること、メタ認知的振り返りに関しては数学が嫌いな学生のほうが数学が好きな学生よりも記述の頻度が高いなど、授業評価にコメントを活用することの潜在的可能性を示唆する結果が得られた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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