研究課題/領域番号 |
16H03070
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
杉本 雅則 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90280560)
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研究分担者 |
稲垣 成哲 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70176387)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教育工学 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、本科研費研究で構築するシステムの設計と開発を進めた。提案システムでは、各学習者が持つスマートフォン等の携帯端末を用いることで博物館の展示物の形状を取得し、それに対する学習記録をアノテーションとして付与できるようにすることで、現場での実世界型協調学習と事後の振り返りを支援する。そのためには、複数の携帯端末を連携させることによる3次元形状取得機能が最も重要な技術となる。平成28年度に取り組んだ研究に対する主な実績は、以下の通りである。 1.携帯端末の3次元位置認識技術の性能向上を図るため、従来の音響計測に加え、加速度センサ等の慣性センサーを統合的に用いた測位手法の開発を進めた。さらに、実環境での実験を通して、その性能評価を行った。 2.複数携帯端末連携の基盤となる時刻同期技術の構築と実装を進めた。具体的には、室内照明の変調光を搭載カメラで撮像することにより、任意タイミングでシャッターの開放を制御できる手法を構築した。 これらの成果に対し、国際学会の学術論文の採択(IEEE Transaction誌)、国内学会での受賞(情報処理学会シンポジウム)等、顕著な実績を示すことができた。 また、それと並行して提案システムを用いた実践的評価のための準備を進めた。提案システムの開発を通してその機能が具体化され、どのような設定であればよりシステムの効果を得られるかについて、実践に関わる関係者との議論、検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システム開発については、当初の想定ほどは容易には進んでいないが、それは技術的な部分についてより深く追求しているためである。また、それによって学術的に興味深い課題に対する解決策を与えることもできた。研究実績として挙げた論文採録や受賞は、この過程で明らかになった挑戦的な課題に取り組むことによって得られた成果でもある。当初計画に沿った研究内容については、大きな障害は今のところ見当たらないので、今後は計画通りに進めることが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、技術的にも挑戦的な内容を含む。したがって、当初の計画通り学習支援の実践的研究として成果を示す以外にも、要素技術の深化を通して学術面あるいは特許等の産業面での貢献も可能と考えている。申請時に掲げた研究目的を軸にしつつ、より生産的な研究となるよう推進していきたいと考えている。
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