研究課題/領域番号 |
16H03078
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
殷 成久 神戸大学, 情報基盤センター, 准教授 (20512180)
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研究分担者 |
熊本 悦子 神戸大学, 情報基盤センター, 教授 (00221383)
廣川 佐千男 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 教授 (40126785)
魚崎 典子 大阪大学, 国際教育交流センター, 特任准教授(常勤) (00721523)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | データ収集基盤構築 / クイズと教材 / 学習ログの分析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、電子教材システムによる学生の閲覧ログデータを収集・分析することで、電子教材を改善し、教育・学習を支援することです。平成28年度は教育ビッグデータの収集・分析に関する研究を行うための基盤構築を行いました。データ収集の基盤として、Digital book for Improving Teaching materials (DIT)というシステムを構築し、実際の授業への導入を実現しました。 DITシステムには、ユーザー、コースおよび教材の登録や、電子教材閲覧などの機能があります。更に、電子教材コンテンツに、メモ、マーカー、ブックマークを挿入することができ、これらユーザーによる電子教材の操作履歴は、全てデータベースに保存されます。現在は共同研究者の授業においてDITシステムを利用したデータ収集や、学生による教材の評価などを行っています。 学習ログデータを利用した統計・相関分析などの研究を行いました。その中の一例として、授業前の予習回数と学生の成績の相関分析を行いました。その結果、予習が多い学生は予習しない学生より成績がよいということが分かりました。更に、学生が繰り返し学習することが復習だと考えて、復習と学生の成績の相関分析を行った結果、復習する学生の成績がよいということが分かりました。 さらに本研究は、電子教材システムに加え、LMS Moodleシステムの利用履歴と教材コンテンツも利用しており、平成28年度は、Moodle上にある「情報基礎」という科目に対する研究分析を行いました。たとえば、学生のクイズの成績は、教材コンテンツと関係があるという想定のもと、テキストマイニング技術により、クイズの問題内容と教材の該当箇所を結びつけ、クイズの正解率から難しい頁を特定する手法を開発しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度に神戸大学に異動したことに伴い、個人情報などの関係で、前任地九州大学のe-bookログデータを使うことが難しくなりました。そのため、研究計画を変更し、データを収集するための電子教材システムDITを開発しました。 現在は、共同研究者の授業にDITシステムを導入し、約5万件のレコードを収集できました。更に、情報基礎などの別の授業にも展開しています。 また、データの分析結果によって、いくつかのシステムの提案も行いました。 なお、国際会議の招待講演として、現在までの研究成果の発表も行いました。
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今後の研究の推進方策 |
継続的にシステムを改善し、データ分析を行い、その結果による新たな機能を開発する予定です。更に、学生のクイズの成績が教材内容と相関があるかを調べる研究も行う予定です。 日本国内だけでなく、海外でもシステムを利用してもらい、英語の教材の改善にも応用できるかどうかを検討します。たとえば、台湾の協力者と協議し、開発したシステムを台湾で導入します。 収集したデータを研究分析し、国内外の国際会議に投稿し、発表します。更に、ジャナールの論文投稿も行う予定です。 平成29年度は以下の活動を行う予定です。1)教材作成の人件費、2) PCの購入費3)論文発表の旅費4)研究・評価の打ち合わせなどの旅費5)論文の発表費6)システム開発の外注費
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