研究課題/領域番号 |
16H03083
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
山川 修 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (90230325)
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研究分担者 |
田中 洋一 仁愛女子短期大学, その他部局等, 教授(移行) (20340036)
井上 仁 保健医療経営大学, 保健医療経営学部, 教授(移行) (70232551)
多川 孝央 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (70304764)
徳野 淳子 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (70451987)
安武 公一 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (80263664)
隅谷 孝洋 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 准教授 (90231381)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 情動知能 / 内的モデル化 / Growth Mindset / 心理的安全性 |
研究実績の概要 |
文脈が違ってもデータを統一的に見るために現在までに、情動知能(内省的知能,対人的知能)を含んだ学習者の内的モデルに必要な要素(内省、信頼、意味)と機能(Growth Mindset、心理的安全性)を明らかにしてきた. 我々は「自律的学習者」という観点から学習者に必要な要素を分析しているが、学習者が自律的であるためには、自分の中で起こっていること(身体、感情、思考)を客観的に見ることができる内省的能力(内省)、チームで目標に向かって進むために、チームメンバー間で信頼関係を築くことができる力(信頼)、そして、自分の人生の意味を把握した上で、自分が今実施していることと人生の意味を重ねることができる力(意味)、の3つが重要であるという結論に達している。 また、内省、信頼、意味、という要素が揃うと、まず、自分自身のメンタルモデル(マインドセット)を変化させることができるようになり、世間で言われる「頭がやわらかい」状態、学術的にはGrowth Mindsetが得られると考えることができる。また、対人関係では、信頼関係を築くことにより、心理的安全性(Psychological Safety)が高い状態を創ることが可能になり、そのグループに参加するメンバーの学習能力が高まることが期待できる。 以上は仮説であるが、このうち、内省、信頼と情動知能との関わりに関して、問を立てる(内省を高めることにつながる)ことと、信頼関係を創ることに焦点をあてたアクテイブラーニング型授業により、情動知能が高まることが確認されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
様々な場面で発生する学習状況をまとめるための学習のモデル化はある程度進んでいるが、それをデータ上で裏付けるためのデータ分析が若干遅れ気味である。 当初は、データを分析することから初めて、ボトムアップにモデル化に結び付けようとしていたが、得られるデータは限りがあるので、それを組み合わせても、全体像に結び付かないことがわかり、手順を変更し、全体像を含むモデルを最初に作成し、それをもとに個々のデータを解釈するという、トップダウンに手順を変更したのが、「やや遅れている」理由である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得られたモデルの数学的精密化と、データによる裏付けを目指す。具体的には、内的モデルに必要な要素(内省、信頼、意味)の基礎に「安心さ(Feeling of Safety:FoS)」があるのではないかという仮説から (1)「安心さ(FoS)」を客観的に測定できる方法(具体的には、ウェアラブルセンサーを使った、3D加速度データや心拍変動のデータを分析する手法)の開発を行う。 (2) そして、そのデータを再現する内的モデルを表現する、位相的モデル、動的モデルの構築を試みる。 (3) そのため、内的モデルをより精緻化するため「安心さ」の基礎となる心身相関に関わる技法から得られる知見のシンポジウムを実施する。
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