研究課題
本研究後半の2年は,構成的モデルを構築し,それを定量化するというのが目標であった.昨年度までに,自律的学習者の要素として「内省」「信頼」「意味」の3つが重要であるというモデルを提案し,地域の問題解決型授業で「内省」と「信頼」の要素に,社会人向けの公開講座と初年次教育向けのゼミにおいて「意味」に重点をあてた授業講座を実施した結果,内発的動機づけ,情動知能,SOC(首尾一貫性指標)等が,向上することが分かってきている.また,「内省」「信頼」「意味」の大本に「安心(Secure base)」が存在するのではないか,という仮説も昨年度までに提唱している.昨年までは,このモデルを実証するため,質問紙で測定するという方法をとっていたが,当該年度は,より客観的な指標を構築するため,身体の動きと,心拍の時間変化により「信頼」や「安心」が測定できないかということに取り組んだ.具体的には,3軸加速度センサーと心拍計を組み込んだスマートウォッチを受講生に装着してもらい,そこからのデータを一括して取得するシステムの構築を行った.従来のスマートウォッチにもこれらのセンサーは組み込まれているが,データを取り出すためには,ひとつずつスマホとペアリングをしなければならず,かなり大変であったが,当該システムでは,一括でデータが取り出せるので,教室における授業の分析がかなり容易になった.また,当該年度には,昨年までに構築したモデルの精度を高めるため,「内省」に焦点をあて,思考による内省だけでなく,身体への内省がどう行われているかを研究を行った.具体的には,ボディサイコセラピー(ソマティック心理学)と,アスレチックトレーナの日本の第一人者をお呼びして,各4時間をワークショップおよび,その後2時間の対話を行って議論を深めた.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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臨床心理学
巻: 19-5 ページ: 570-574