研究課題/領域番号 |
16H03090
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大西 正輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (60391893)
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研究分担者 |
川島 理恵 関西外国語大学短期大学部, 英米語学科, 准教授 (00706822)
内田 康太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (60408143)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教育工学 |
研究実績の概要 |
本研究は,救命救急医療行為を定量的に評価し,研修医教育へのフィードバックループを作成することを目的としている.これまでに取得したダミー人形を用いたシミュレーション教育のデータと実診療のデータの両方について,救命初療室で計測した動線分析および会話分析,そしてその融合的な観点での分析を行っている.特に時間的に連続する,動きと動きの関係,会話と動きの関係,会話と会話の関係について,社会学的な質的分析と工学的な量的分析を行っている. シミュレーション教育の計測データについては発話先の宛先の誤解によって無駄な動線が生じている事例が幾つか観測され,発話のやりとりの曖昧さが人の動きに影響を与えることが分かってきた.これはシミュレーションならではの気づきを生みやすい活動であるということも分かってきた. 一方で,実診療の計測データについては医師・研修医・看護師のそれぞれの医療従事者間の移動について,他者の移動につられて移動する追従行動と,他者に移動を促す誘発行動に着目した分析を行い,主たる看護師は医師と同期して動き,補助的な看護師は,看護師・研修医と同期して動くことが分かってきた.また,主たる研修医は看護師・医師と同期して動いていることが分かってきた.現在,移動による追従誘発だけではなく,それぞれの医療従事者間の会話と会話の関係,会話と移動の関係について,追従行動と誘発行動に分けて分析しているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた,熟練度との相関はまだ調べられてはいないが,当初予定していなかったシミュレーション教育と実診療の両方の観点の分析などが進んでおり,全体としてはおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては以下の3つの観点で研究を進める. (1) シミュレーション教育と実診療のデータの分析を行うことで,教育と実際がどのような点で異なり,どのような点が同じなのかを明らかにすることで効果的な教育方法を模索する. (2) 行動と行動,会話と行動,会話と会話の相互行為を社会学的な分析,工学的な分析を行うことで,チーム医療の本質が何に基づいているのかを明らかにする. (3) 医療経験(例えば研修医の経験月日)によってこれらの分析結果がどのように変化していくのかを明らかにすることでチーム医療評価や研修医教育の方法を明らかにする.
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