研究課題/領域番号 |
16H03093
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
戸田山 和久 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90217513)
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研究分担者 |
久木田 水生 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (10648869)
間瀬 健二 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (30345855)
唐沢 かおり 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50249348)
鈴木 泰博 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (50292983)
秋庭 史典 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (80252401)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シンギュラリティ / 人工知能 / 科学哲学 / 科学技術社会論 / 応用倫理 / 概念工学 / ロボット |
研究実績の概要 |
シンギュラリティ問題を体系的に考えるための基礎的問題群の洗い出しと、問題のマッピング、それぞれについて答えるための材料になる情報収集、文献の読み込み等の作業はほぼ終了した。こうした課題を果たそうとする中で、哲学とはいかなる営みかについての新しいモデルについて確信を深めることができた。それは、「概念工学(concept engineering)」と呼ぶことができる。シンギュラリティ問題を解くという作業は、知能、人間、機械、生命、agent、意思、意味、理解など広範な基礎的概念についての再定義を伴う。概念の改定・更新という哲学のこうした側面を表すために、「概念工学」という語は適切であろう。 そうしたねらいから、戸田山と唐沢は、本年度に名古屋大学出版会から『〈概念工学〉宣言!』を編集・上梓した。本書においては哲学者と心理学者により3組のペアを構成し、それぞれが「こころ」「自由」「自己」というシンギュラリティ問題を考えるために重要な概念について概念工学的作業をじっさいに行い。唐沢と戸田山がそこから概念工学の方法論と問題点を摘出するという構成をとった。 久木田は、人工知能およびロボットに倫理を実装させることに関する問題(それはシンギュラリティ問題の一つのコアとなる)に関する、現在のところ最も包括的な文献であるウォラックとアレンの『ロボットに倫理を教える:モラル・マシーン』を翻訳出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンギュラリティ問題を考えるための基礎的問題群の洗い出しと、問題のマッピング、それぞれについて答えるための材料になる情報収集、文献の読み込み等の作業は順調に進捗した。副次的に「概念工学」というコンセプトについてまとまった考察と成果を出すことができた。研究分担メンバーにより、中間的成果を適宜国内外の学会等で発表することができた。編著書、翻訳書等の出版を行うことができた。若干、現場エンジニア等からの意見聴取が進んでいないところもあるため、「おおむね」順調に進展している、とした。
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今後の研究の推進方策 |
現場エンジニア等からの意見聴取をさらに進め、これまでに蓄積した材料を元に、シンギュラリティ問題に関する包括的な解答を作成し提案する。総まとめのシンポジウムを開催し、各研究分担者による成果を発表し、フィードバックを受ける。シンポジウムの企画段階から、最終的な書籍化に向けた準備を進める。シンポジウムの成果とフィードバックを反映した論考をまとめ、書籍の形で出版するメドをつける。
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