研究課題
研究2年目となる本年度は、昨年度までに採取した中国地方2カ所(島根県、兵庫県)、北陸地方1カ所(新潟県)のスギ試料(各30点以上)の年輪幅計測を実施し、それぞれで十分に質の高い、200 年長の年輪幅標準年輪曲線を構築した。さらに、これらを既存の年輪幅標準年輪曲線ネットワークに組み込み、各地域間の同調性を検討した。その結果、島根の曲線は、九州北部や四国北部の曲線と、兵庫県の曲線は、木曽を含む太平洋側の曲線と、そして新潟県の曲線は東北北部日本海側から木曽までの曲線と広く同調することが明らかになった。また、この進展により、年輪幅データの試料空白地は、関東北部と紀伊半島南部のみとなった。木質遺物の標準年輪曲線構築については、新たに、鎌倉市内の複数の遺跡(鎌倉時代に相当)から出土した出土木製品を対象にデジタルカメラによる調査と年輪幅計測、標準年輪曲線を実施したが、表面処理が困難で、年輪の可視化が難しい試料が多いことから、現時点まででは、良好な結果が得られていない。現生試料の酸素安定同位体分析については、新潟、仙台などから得られた新規スギ試料のセルロース抽出・切り出し・秤量を継続するとともに、青森、岩手などの既計測サイトの試料数増加を図り、同様に切り出し・秤量作業を進めた。その結果、各サイトで2-4試料の確保に目処が立った。ただ、本年度は、質量分析計の不調もあり、予定していただけの測定を実施することができなかった。迅速な試料採取を実現するため、最近森林総合研究所が開発した自動コア採取装置を購入し、使用研修を受講した。これにより来年度以降、12mmコアの試料採取が容易になり、より多くの試料を得られるようになると期待される。
3: やや遅れている
現生材を対象とした年輪幅標準曲線ネットワークの構築については、今年度予定したとおり、新規に3曲線を構築できたため、順調に進展したと評価できる。一方、酸素安定同位体比測定については、測定用試料の準備は進んだものの、質量分析計の不調があり、十分な測定数を確保することができなかった。また、国際共同研究加速基金により、長期海外出張したため、木質遺物の試料調査をほとんど実施することができなかった。以上より全体としてはやや遅れていると評価した。
今後は、残る試料空白地である関東北部方面の現生材試料の調査を早急に実施する。また、昨年度実施できなかった木質遺物の試料調査についても、研究分担者と共に西日本で進める予定である。安定同位体比については、質量分析計が復調したため、着実に測定を実施する予定である。
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