研究課題/領域番号 |
16H03110
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館 |
研究代表者 |
一條 彰子 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (40321559)
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研究分担者 |
寺島 洋子 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (00270421)
室屋 泰三 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 企画課, 主任研究員 (30537329)
東良 雅人 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (70619840)
奥村 高明 聖徳大学, 児童学部, 教授 (80413904)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 鑑賞教育 / 美術館 / 所蔵作品 / 探求的 / 学習指導要領 / ギャラリートーク / ウェブ教材 / 対話的 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国内外で行われている最新の美術鑑賞教育の理論と方法を整理したうえで、国内各地の美術館の所蔵作品を用いて、探求的な鑑賞プログラムを開発することである。研究初年度となる平成28年度は、国外(オランダ)美術館の先進的な取り組みを視察し、学校教育との関わりついて調査することができた。具体的には次のとおり。 国外調査:オランダの主要な5つの美術館(アムステルダム市立美術館、ゴッホ美術館、アムステルダム国立美術館、ユトレヒト中央博物館、マウリッツハイス美術館)を訪問し、教育担当学芸員から次の点について説明を受け、ギャラリートークを視察した。1.鑑賞教育の理論と教授法、プログラムの種類、2.所蔵作品の特徴をどのように活用しているか、3.教育スタンダードをどのように反映させているか、4.学校連携のしくみや教員研修について、5.教育部の組織とスタッフ、6.課題と目標。さらにオランダで近年注目されているギャラリートーク理論「I ASK」について、発行元であるユダヤ歴史博物館よりハンドブックを入手し、オランダ語から翻訳を行った。 これらのことから、オランダの美術館ではそれぞれのコレクションに明快に関連付けられた教育ミッションに基づき、ギャラリーでの鑑賞授業を、オンライン教材を用いた学校での事前学習や、美術館アトリエでの事後制作と組み合わせて展開していることが明らかになった。 年度後半には、これらの調査成果を分析し、2年目以降に制作する鑑賞教材にどのように活かせるかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究計画に掲げていた、国外の美術館で実践されている鑑賞教育についての調査と分析を、充分に行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目となる平成29年度は、フィンランドとデンマークの先進的な鑑賞教育を調査する。フィンランドは2016年から包括的学習を推進しており、美術館所蔵作品を美術以外の教科も含めて活用しようとする動きが見られる。この状況を直接、美術館・学校・教育行政それぞれの担当者からヒアリングしたいと考える。年度後半では、これまでの視察事例を参考にしつつ、探求的な鑑賞ウェブプログラムの骨子を作り、必要な作品と所蔵美術館を洗い出し、研究協力者となる学芸員を募る。また、本年3月に告示された新学習指導要領と照らし合わせ、本研究がどう関係づけられるかの検討を進める。
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