研究課題/領域番号 |
16H03111
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
辻村 真貴 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10273301)
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研究分担者 |
恩田 裕一 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00221862)
勝山 正則 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (40425426)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地下水 / 湧水 / 滞留時間 / 微生物 / 全菌数 |
研究実績の概要 |
山地源流域の湧水における滞留時間に関し、その時空間変動を示すデータが得られた。無降雨時においては、湧水の流量が多い時期ほど短い滞留時間が示され、反対に流量の少ない時期には長い滞留時間が認められた。一方、降雨流出時においては、湧水の流量が多くなるほど滞留時間が長くなるという、反対の傾向がみられた。 また、こうした現象に加え、湧水・地下水中の滞留時間と全菌数との間に、関係性が見いだされた。 無降雨時においては、湧水流量の多い条件下においては、浅層を流動した相対的に短い滞留時間からなる地下水が湧水に寄与し、湧水流量の少ない条件下においては、深層を流動した相対的に長い滞留時間からなる地下水が寄与したものと考えられた。一方、この傾向には顕著な変動もみられた。とくに、降雨流出後の基底流出時においては、斜面内の地下水が相対的に古い滞留時間を示すため、湧水のそれも同程度の流量時に比べ、古い滞留時間からなることが推察された。 さらに、滞留時間推定に重要な要素である、水の窒素・アルゴン濃度を測定するラインを構築し、ほぼ実用段階に至った。次年度以降は、窒素・アルゴン濃度の分析を進め、より高精度な滞留時間推定を目指す。 加えて今後、地下水等の時間情報を評価する上で、新たな手法として微生物数を利用することの有効性が示唆された。すなわち、滞留時間が長い湧水においては微生物数が少なく、一方、滞留時間が短い湧水においては微生物数が顕著に変動することが示された。次年度以降、この傾向をさらに多くの湧水において確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
データの蓄積に加え、滞留時間推定に重要な、水の窒素アルゴン濃度を測定するラインを、新たに開発し、ほぼ分析可能状態にまで進展した。
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今後の研究の推進方策 |
窒素アルゴン濃度の測定により、滞留時間の評価をより高精度にするとともに、全菌数と滞留時間の関係についても、より詳細な解析を行っていく。
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