近年、ICTの進展および携帯電話の普及等により、多様で膨大な位置ビッグデータが蓄積されたことで、人の流れを分析・予測することが可能となった。しかし、個人情報の取り扱いにはデータの応用利用上の制限がある。一方、交通行動の意思決定をエージェントベースシミュレーションで扱い、特定の人の代わりに、人々の動きをボトムアップに推定・予測する手法が注目を集めている。つまり、匿名化した膨大なデータをエージェントベースシミュレーションとの統合する手法が必要である。 そこで2018年度は、強化学習を用いることにより、エージェントベースシミュレーション技術と大規模位置情報を統合し、自律的エージェントに基づく人の流れシミュレーションフレームワークを構築した。具体的には、生の移動軌跡から、データ処理、行動モデル構築、シミュレーションのパイプラインを組み立て、作成した模擬データセットの精度評価を行った。全体としては0.8以上の人口相関を達成するとともに、時間帯別の交通量や交通パターンの再現性を確認した。
|