研究課題/領域番号 |
16H03128
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研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
古俣 寛隆 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場, 研究主任 (00446303)
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研究分担者 |
大橋 義徳 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場, 主査 (20462319)
青井 秀樹 国立研究開発法人森林総合研究所, その他部局等, 主任研究員 等 (30353551)
石川 佳生 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場, 主査 (80446286)
久保山 裕史 国立研究開発法人森林総合研究所, その他部局等, 主任研究員 等 (90353672)
宮崎 淳子 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林産試験場, 研究主任 (50446340)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 経済政策 / 環境材料 / シミュレーション工学 / 二酸化炭素排出削減 / バイオマス |
研究実績の概要 |
本研究では、我が国における国産材CLTの普及拡大を目的に、国産材CLTの需要量・コスト・製造リスク・利用効果等に関する数理統計学的・経営工学的・社会科学的解析を実施し、今後の普及および生産において有益な指針となる国産材CLTの利用モデルを構築する。 本年度行った調査・分析の概要は以下のとおりである。(1)CLTの需要予測を行うため、様々な規模の建築物へのCLT の活用方法を検討した。国土交通省、国立社会保障・人口問題研究所等の統計データと住宅の滅失率を変数として、将来の住宅および非住宅着工数予測式を推計した。(2)国内外においてCLT の原料である丸太・ラミナや製品、建築物におけるコスト・品質・サプライチェーン・マーケティング活動を調査し、市場特性分析を実施した。オーストリアでの海外先進地調査より、同国では、CLTの材料価格が非常に安価なこと、日本と比較してRC造の建築単価が高価なことなど、CLTに有利な条件が見られ、さらに、メーカーがCLT建築の軽量・短期施工を生かした積極的なマーケティング活動を行っていることも分かった。(3)CLT の製造・加工に関わる“コストシミュレーター”のプロトタイプを作成した。これを用いて規模・製造方法・流通方法別のコスト分析を行うとともにCLT 製造・加工事業の採算性に関わるリスクの基礎的な検討を行った。CLT製造コストの約6割はラミナ費が占めており、大幅な削減には安価なラミナの調達が不可欠であることが分かった。(4)CLT造ならびにRC造建築物における各材料の物量や工事費等に係る設計資料を収集した。固定資産税、火災保険料の調査を実施し、建物の生涯費用およびライフサイクルアセスメントなどの評価シナリオについて設定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載された項目は全て実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
建築着工の予測式からCLTの具体的な需要量を予測するとともに、引き続き国内外のCLT製造・流通に関する素材生産から建築までのコスト・要求品質やマーケティング調査を実施する。製材・CLTコストシミュレーターを精査し、利用者に配布し、フィードバックを図る。CLT製造コスト低減のための低コスト製材システムの検討を行うとともに丸太価格と森林所有者の利益に関するモデル解析を行うなど、ラミナ費削減のための課題と解決策を明らかにする。CLT 建築物のイニシャルコストとランニングコストを合計した生涯費用を算出し、RC造との比較・検討を行う。
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