本研究では実環境を対象とした局所大気の可視化を目的としている。ビル風や工事現場でのガス流出、工場から巻き上がるダスト監視等、現技術では可視化を為し得ていない局所大気の可視化を行う。本研究ではこれまで開発してきたパルス化したLED光を光源としたミニライダーを擬似ランダム変調によって昼間計測へ対応させ、リアルタイムでの画像化によってこの課題に挑んだ。局所で使うために瞳への安全性と低消費電力、ならびにバッテリー駆動を可能とする携帯性を合わせることで、実環境(現場使用)を前提とした遠隔計測での局所大気の可視化を実現している。 具体的成果として、開発した高速ホトンカウンタからのクロック信号に同期した擬似ランダム変調コードの生成を行い、そのトリガ信号でLEDパルス光を発振させるまでを行った。結果として、パルスあたりの出力を0.5W(=5nJ/10ns相当の出力まで発振可能であった。この値をもとに、擬似ランダム変調のコード長、変調周波数、ならびに実質的な分解能、積算数の設計、検討を行った。実際のLEDライダーの仕様をもとにシミュレーションを作成し、先の擬似ランダム変調の仕様を最適化させて実装置への導入を図った。 一方で、LEDライダーによって局所大気・ガスの可視化を具現化すべく、送信光波長と同じ波長で計測するミーライダーと、特定ガスを対象としてガス種に応じて波長シフトしたラマン散乱光を計測するラマンライダーを作成した。この2台で同期計測を行い、大気エアロゾル、窒素、水蒸気の時間応答、波浪及び表層大気の観測、ならびに人口竜巻発生装置での蒸気竜巻の計測を行った。動きのある計測対象を定点から観測、ならびに対象をスキャニングして計測し、局所大気・ガスの可視化を行った。
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